2008-01-01から1年間の記事一覧

上野千鶴子さんとキリスト教信仰

東大の上野千鶴子さんは、「遅れてきた近代主義者」として、宗教の問題はいつもレトリックで誤魔化しながら、「昔の発言には責任をとらない」(「ニュー・フェミニスト・レビュー」)「フェミニズムは生き延びるための思想」(「生き延びるための思想」)「…

島田裕巳「日本の10大新宗教」というトンデモ本

島田裕巳さんの著書「日本の10大新宗教」(幻冬舎新書、2007年)が、今年のベストセラーになりました。内容は、有名教団についてのウワサ話のツギハギで、学術的研究どころか、ルポルタージュにもなっていない。三文週刊誌レベルの本です。取り上げられた教…

現代日本と不安障害

今朝の朝日新聞の医療コーナーで、「不安障害 働き盛りに増加 薬物・認知行動療法で多くは改善」という特集が組まれていました。不安障害の中では、パニック障害と社会不安障害(「対人恐怖」というのは、日本独特の表現です)、強迫性障害の三つが代表的だ…

センチメンタル宗教学について

東京大学の島薗進氏(日本宗教学会現会長)の宗教学を、「センチメンタル宗教学」と評したのは、反骨の宗教ジャーナリスト・藤田庄市氏です。島薗氏は、新宗教研究を「学問」として確立した傑出した研究者ですが、島薗氏が論じると、新宗教の信仰世界が「き…

Perfumeまたは身体性の復権

テクノ・ポップ・アイドル・ユニットPerfumeのライブDVD「Game Tour」を購入しました。Perfumeは、歌唱力やルックスは、「近所のちょっと歌がうまくてちょっとかわいいお姉さん」程度で、それだけでは商品化は難しかっただろうし、3人のメンバーが独立して…

「無条件の愛」から「無条件の生の肯定」へ

AC

親を責め、深刻な対立を繰り返しながらも「働けない」彼らは親元で暮らし、そのこと自体をなじられた。「働かない」ことを責める親の怒号は「小さなころから親の言うことを聞くいい子じゃなければ愛してくれなかった」記憶を呼び覚ました。しかし、彼らの多…

「民衆宗教」研究会について

はてなダイアリーをつけ始めてから、27日目にして確実に1万アクセスを突破しそうです。どんな方が読んでくださっているのかわかりませんが、日記の内容からして、宗教(とその周辺)の関係者の方が多いのではないか、と想像しています。私は、最近は「民衆宗…

天理教教祖と家父長制

東京大学の島薗進氏は、天理教教祖が、外孫の中山真之亮(初代真柱=教主)が誕生したときに、「この子には、前川の父上の魂を流し込んだで。真の柱や。」と発言したことを根拠に、「中山みきは生涯強い父の面影を追っていた。」と論じています(島薗進「神…

映画「次郎長三国志」について

マキノ雅彦監督の角川映画「次郎長三国志」が、9月20日から全国公開されています。http://www.jirocho-movie.jp/ 1990年代(「失われた10年」)には「忠臣蔵=プロジェクトX」的男性性が、2005年には新渡戸稲造の<発明>した「キリスト教的武士道」に依拠し…

天使のたまごー「遅れてきた青年」の出オタク論

ー「無を信じることは、神を信じることと同じように強い」(伊藤整「近代日本人の発想の諸形式」、岩波文庫、1981年、p55) 私は、押井守(1957-)のアニメ作品の最高傑作は、芸術的完成度という点では、初期の「天使のたまご」(1986年、徳間書店、2007年に…

井の頭線的凡庸さ

学問の世界は、30才で格が決まり、40才ではもう勝負がついている厳しい世界です。私はいま46才ですが、学者としては、自分で言うのも手前味噌で気が引けますが、まずまずの成功だったと思います。もちろん私は、マックス・ウェーバーのように100年立っても古…

「宗教と社会」学会テーマセッションの反響

今年の6月に、私が企画して「宗教と社会」学会で行われたテーマセッション「『民衆宗教』研究の新展開―新しい『階級』の時代の宗教社会学」の反響です。http://blog.capnoir.jp/2008/06/blog-post.html学会発表に毀誉褒貶はつきもので、一喜一憂しても仕方な…

コクピットイズム

「コクピットイズム」という雑誌があって、結構売れているようです。http://secure.ikaros.jp/sales/PS.html「コントロールする興奮と緊張感が交錯するコクピット。男の運転・操縦主義マガジン!」とあります。先進国では、「労働の女性化」が進行する中で、…

公共図書館におけるBL本撤去事件に思う

堺市の全市の図書館の書架から計5499冊の図書が、いっせいに書庫(閉架)に移されました。発端は、7月末に「市民」が「BL本が大量に図書館にある」と図書館に苦情を申し出たことです。これを受けて、8月に堺市が全市の図書館から関連本?を開架から閉架に移…

大相撲人気の凋落ー「強者の意地」について

プロ・スポーツは、覇権的男性性(「男の中の男」のイメージ)を再生産するための有力な装置です。日本の「国技」である大相撲の世界では、「強者」が「意地」を張ることが要求されます。大相撲の世界は、「番付一枚違えば地獄」という、「場」(所属部屋)…

SSRIを使用禁止薬物に!

先日の記事「『勝ち組』の『生きづらさ』」でも書いたことですが、向精神薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用禁止薬物に指定すべきです。アメリカではすでに1700万人が使用しているというこの向精神薬を使用禁止薬物に指定して、支配エリート…

スカイ・クロラーミニマルな親密性

AC

森博嗣(1957-)の「スカイ・クロラ」(中公文庫、2004年)を読みました。押井守監督のアニメは、未見です。テーマは、ずばり「AC同士のミニマルな親密性」。「ミニマルな親密性」の定義については、拙著「男らしさという病?」(風媒社、2005年)をご参照く…

明治日本の宗教者とエートスとしての<侠>

愛知学院大学文学部紀要38号原稿(2009年3月刊行)<題名>明治日本の宗教者とエートスとしての<侠> <著者>熊田一雄(宗教文化学科准教授)<要旨> この論文の目的は、近代日本における宗教と男性性(マスキュリニティーズ)という問題意識に基づき、明…

覇権的男性性からオルタナティヴな男性性へ

「現代のエスプリ」2007年1月別冊号「セルフ・アイデンティティ―拡散する男性像」より再録<題名>「覇権的男性性からオルタナティヴな男性性へ」 <著者>熊田一雄(愛知学院大学文学部宗教学科助教授)A.覇権的男性性とは 覇権的男性性とは、社会学者コン…

「個人化した社会」における「重要な他者」

「社会とは模倣であり、模倣とは一種の催眠状態である。」(ガブリエル・タルド「模倣の法則」河出書房新社、2007年(原著1895年)、p138) タルド(1843-1904)は、デュルケム(1858-1917)が社会学という学問分野を<発明>するにあたって、葬り去った論敵…

男性への性的虐待

男性の性的虐待サバイバーのサイトを紹介しておきます。「If He Is Raped」 http://www.biwa.ne.jp/~genbu/ 少年(男性)への性的虐待は、性差別の問題を考える上でたいへん重要な問題だと思うのですが、今でも大半の被害者は、被害を否認しているのでしょう…

福田康夫氏の国家観ー太陽と海と伊勢神宮

「福田内閣メールマガジン」46号からの転載です。福田康夫氏は、最後まで「国民目線」の意味すら理解できなかったのではないでしょうか? ドブ板選挙なんて一度もしたことがないのでしょう。 「私は国民とは違うんです。」 ================================…

AC・よそもの・私とあなた

AC

「アディクションと家族」vol.18-4、2001年より再録<表題> 「AC・異邦人・ブーバーー『見捨てられ』感覚をめぐって」 AC,The Outsider, Buber−about the Sense of“Being Abandoned” 抄録:この論文の目的は、通俗心理学で言うアダルトチルドレンの概念を…

■ REACH Online 2008 とは?

「REACH Online(Researching Epidemiological Agenda for Community Health)」は、1999年から行われている「ゲイ・バイセクシュアル男性、 あるいは男性とセックスの経験がある男性を対象にしたインターネット 調査のこと」です。「男性同性間のHIV感染予…

天理教教祖の「力比べ」の起源

天理教の女性教祖・中山みき(1798-1887)が男性信者に対して行っていた「力比べ」については、先にブログ記事「天理教教祖の『力比べ』について」で考察を加えておきました。拙稿「天理教教祖と<暴力>の問題系」『愛知学院大学文学部紀要』37号、2008年も…

天理教教祖と<暴力>の問題系

愛知学院大学文学部紀要37号論文(2008年)より転載<題名>天理教教祖と<暴力>の問題系 <著者>熊田一雄(宗教文化学科准教授) <要旨> この論文の目的は、日本の初期新宗教である天理教の女性教祖である中山みき(1798年-1887年)の男性信者に対する…

「勝ち組」の「生きづらさ」

安倍元首相は、昨年度「体調不良」を理由に突如政権を投げ出しました。病名は公表されなかったけれども、過敏性腸症候群でしょう。安部氏に、「緊張すると下痢をする」持病があることは、首相就任前から知られていました。首相辞任直前には、外遊先までコッ…

「民衆宗教」と暴力

「宗教と社会」15号所収予定原稿 <報告者>熊田一雄(愛知学院大学文学部宗教文化学科) この報告では、日本の初期新宗教である天理教を題材に、従来研究者が目をつむりがちであった新宗教と<暴力>の際どい関係をクローズ・アップし、宗教界の現状を批判…

ボクっ娘・俺女

「ボクっ娘・俺娘」が大量に出現しつつあるようです。http://r25.jp/web/link_review/20005000/1122008082208.html?vos=nr25mn0000001

女子ソフトボールの上野投手と目玉おやじ

北京五輪で一躍国民のヒロインとなった、女子ソフトボールの「鉄腕」上野由岐子投手についてのドキュメンタリーをTVで見ました。上野選手の寮の部屋には、「目玉おやじ」の1mほどの大きなぬいぐるみが置いてありました。団塊の世代(グローバルな戦後第一…