2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

死刑制度と自殺

自殺者は囚人である。この囚人は監獄の中庭に絞首台が立てられているのを見て、誤って自分のためのものだと思い込み、夜中に独房を破って脱出し、庭に降りて自ら縊死するのである(フランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー、1996年、p11…

トラウマ治療と「静かな悲しみ」

外傷的事態は、「しばしば語りえないものをあえて語る」ために、ストーリーは、一般に、現像中の写真のように、もやもやしたものが少しずつ形をとってくることが多い。ここで、治療者があせってはよくない。好奇心が先に立つようではすべては失われる。治療…

59万アクセス到達

59万アクセスに到達しました。

女性のPTSD治療について

治療における患者の特性であるが、統合失調症患者を診なれてきた私は、統合失調症患者に比べて、外傷系の患者は、治療者に対して多少とも「侵入的」であると感じる。この侵入性はヒントのひとつである。(中略) 特に、男性治療者に対する誘惑的態度は、不幸…

木嶋佳苗被告とPTSDの発見困難

―「女になった私が売るのは自分だけで/同情を欲した時にすべてを失うだろう」(椎名林檎『歌舞伎町の女王』) 一般に外傷関連障害は決して発見しやすいものではない。葛藤を伴うことの少ない天災の場合でさえ、アンケートを取り、訪問(アウトリーチ)しても…

超多重人格について

神経症を効かしているものは葛藤か外傷かという問題もありますが、葛藤は内的な傷つけ合いと考えてもいいと思います。心の中で傷つけ合っている一つの体験です。外傷を内在化internalizeしていると考えてもいいと思います。外傷神経症はinternalizeできない…

生活保護女性へのセクハラ

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140329-00034032/ より転載 生活保護女性への「セクハラ」 実は氷山の一角 背景にある行政の”絶対権力” 水島宏明 | 法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター 2014年3月29日 15時34分…

アンパンマンの孤独−愛と勇気とホモソーシャル−

愛知学院大学人間文化研究所紀要29号原稿(2014年9月刊行) <題名>「アンパンマンの孤独−愛と勇気とホモソーシャル−」 <著者>熊田一雄(文学部宗教文化学科准教授)<Title>The Loneliness of Anpanman−Love, Courage and Homosocial− <Author>Kazuo …

お休み

今日はお休みにしました。

ベビーシッター事件めぐりブログで激突

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140325-00000004-jct-soci より転載 鈴木宗男「乙武さんの人間性を疑います」 ベビーシッター事件めぐりブログで激突 埼玉県富士見市のマンション一室で男児の遺体が発見され、ベビーシッターの男が逮捕された問題をめ…

会議日

今日は、教務委員会のために、大学に出校しました。

幼児性虐待と木嶋佳苗被告

なお、幼児虐待、特に性虐待においては、常に真偽が問題となる。日本は小児ポルノの世界最大の輸出国である。これは幼児性虐待の広汎な潜在を意味する。家庭だけでなく撮影の場においても性虐待が行われているはずであるが、末端の売人くらいしか検挙されて…

祈る身体について

鷲田 (前略) ミッシェル・セールというライプニッツの研究者であり数学者でもあったフランスの思想家がいます。(中略)心と身体を分けるというのは一つの抽象なのですが、もっとひどい抽象は心は身体のどこにあるかという問いにあります。喉にあるとか眼…

反復的な外傷

カーディナーを読む限り、戦争における外傷は一回きりの外傷に近い。反復的な外傷こそ人間の問題かもしれない。しかし、それは人間が高級なためではない。社会環境の「人工的」とでもいうべき拘束性にあるものであろう。サルも動物園の「サル山」という人工…

非行少年と無人島物語

問題解決への選択肢が少ないこと。イメージ化がうまくできないこと。無人島に行ったら何を持ってゆき、何をするかという「無人島物語」では、非行少年や家庭内暴力少年は思いつくものが少ないことを私は経験している。知的に普通と思われるの少年なのに島で…

家父長としての白い犬

携帯電話会社ソフトバンクの人気テレビCM「白戸家シリーズ」では、一家の中で「お父さん」だけが、(白い)犬で、家族の中で威張っています。これには、「犬の家父長」という「異端」を笑うことによって、間接的に、まだまだ残存している(「女装した」(上…

「自殺考えた」が2割強

http://kyoto-np.co.jp/top/article/20140324000033 より転載 「自殺考えた」が2割超 滋賀県民、初の意識調査 滋賀県立精神保健福祉センター(草津市)はこのほど、自殺に関する県民意識調査を初めて実施し、報告書にまとめた。自殺を考えたことがある人が…

ストーカー加害者を精神科治療

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140322-OYT1T00562.htm より転載 ストーカー加害者を精神科治療…強制力など課題 ストーカー被害の防止策の一環として警察庁は4月、ストーカー規制法に基づく警告を受けた加害者らに、精神科医の受診を勧める「加…

自分の意志で生まれた?

今日の『朝日新聞』朝刊25面の教育欄の「道徳教育」特集「花まる先生−公開授業ー」という記事は、「自分の意志で生まれた」と題されています。 あなた方は自分の意志で生まれてきた。どんなに生まれて欲しくても生まれてこない子もいる。命を無駄に使ってほ…

カフカにとっての家父長制

これが利己心から生まれた、両親の二つの教育手段だ。つまりあらゆる段階における暴君的圧制と奴隷根性であって、しかもその現われ方たるや、この圧制は実にやさしく(「わたしの言うことを信じなくっちゃ。だってわたしはお前の母親なんだもの!」)、また…

孤独をめぐる逆説

(前略)ロビンソンが、島の一番高い地点、正しくはいちばんよく目につく地点にしがみついていたとすれば、その原因は反抗心、謙虚さ、恐怖心、無知、憧憬、なんでもいいが、もしそうしていたら彼はまもなく破滅したことだろう。しかし彼は、航行する船舶や…

小保方さん騒動におけるマスコミの「女性」利用

http://blogos.com/article/82761/ より転載 【小保方さん騒動】マスコミの「女性」利用がひと目でわかる、ねつ造疑惑前後の各社の見出しまとめ ねつ造疑惑が騒動となっている「STAP細胞」の研究論文。筆頭著者である理化学研究所(理研)の小保方晴子さんへ…

放射能とポジティヴ思考 

ポジティヴ思考に重なって思い浮かぶには、「ミスター100ミリシーベルト」こと山下俊一教授である。ドイツZDFテレビ『フロンタール21』で山下教授が「ニコニコ笑っていれば放射能の被害は受けません。クヨクヨしていれば受けます」「毎時100マイクロシーベル…

北野武と映画による自己治療

精神分析家のバリントは、「基底欠損」(Basic Fault)の治療の目標は、「欠損をかつてもっていたことを受容し完全治癒を断念すること」にある、としています。北野武の唯一のメルヘン映画「菊次郎の夏」は、夏休みにいわば「母を尋ねて三千里」の旅行をし、…

カフカと宗教

(前略)この時代はわたしに実に近しくて、わたしはそれと戦う権利は毛頭ないが、ある意味でそれを代表する権利はあると思っている。それにほんのわずかなプラス面からも、同様に極端な、プラスに逆転するようなマイナス面からも、いかなる遺産も受け継いで…

サリヴァンの統合失調症論と宗教

(前略)さらにサリヴァンのself system概念は、「非自己」と認知した知覚、認知、表象、概念、観念等々の心理的アイテムを絶えずawareness(意識、覚知性)から外に汲み出し(解離し)、「自己」と認知したものを保存するシステムであって、この維持には絶…

「徴候」の武道としての合気道

逆に、名ボクサーの試合をみれば、彼はたえず「精妙にゆらいで」いる。このゆらぎなしには、思わぬ方向からの打撃に対処することはできない。さらに、モハメド・アリのビデオを見れば、相手がまだ運動を起こしていないうちに彼はジャブを開始しているとのこ…

「余裕の文化」としてのおやじギャグ

テストは乱数発生テストといい、できるだけデタラメに一から一〇までの数を唱えて下さい、と告げ、百回まで唱えさせて、そのデタラメ性をコンピューターで段階づける。これは(私のコメントが原論文に引用されているが)私からみれば心理的余裕の一種の尺度…

お休み

今日はお休みにしました。

「もつれた毛糸」としての心理的葛藤

河合隼雄は、どこかで(熊田註;おそらく「芸術療法研究会」か「芸術療法学会」)「治療というものは、もつれた毛糸をほどくようなもので、ふわふわふわふわとやっていれば(ここで手真似)いつの間にかほどけてくるものですな」と語っているが、この直感的…