家父長としての白い犬

 携帯電話会社ソフトバンクの人気テレビCM「白戸家シリーズ」では、一家の中で「お父さん」だけが、(白い)犬で、家族の中で威張っています。これには、「犬の家父長」という「異端」を笑うことによって、間接的に、まだまだ残存している(「女装した」(上野千鶴子))「現実の家父長制」という「正統」を笑っているという側面があると思います。その意味で、このCMは、プロ・フェミニズムだと思います。フランツ・カフカの短編小説『家長の気づかい』に登場する謎の物体「オドラデク」が「子ども」をパロディーにしているのに対して、このCMシリーズは「父親」のほうをパロディーにしています。