2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

若者文化の研究?

今日は出校しない日で、浦沢直樹のマンガ「PLUTO」最終巻(「鉄腕アトム」のリメイク)と、野村葉月のライトノベル「文学少女と死にたがりの道化」(「人間失格」のパロディ)を読んで、若者文化の研究に没頭しました。それは単に趣味に打ち込んでいるだけで…

現代日本におけるグノーシス主義

「信仰。それは、ただ神の笞を受けるために、うなだれて審判の台に向ふ事のやうな気がしてゐるのでした。」それがほんとうの人間の声というものではないだろうか。「神の愛は信じられず、神の罰だけを信じてゐるのでした。」福田恆存氏がこのことをつぎのよ…

禁煙6ヶ月達成

明日で、禁煙6ヶ月達成です。自分で自分の意志の強さをほめてやりたいと思います。

WAN名古屋・東京集会

7/19・20連続企画《上野千鶴子講演&パネルディスカッション》 /WAN・名古屋&東京集会実行委員会 http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/c3a5d8e9004a627d8c4541c5f13502d8 - 7月19日(日)と7月20日(月・祝)の二日間連続で、名古屋と東京…

ブーム再来『人間失格』の魅力とは?

http://www.book.janjan.jp/0902/0902026728/1.phpより転載 太宰治の『人間失格』が今また若い人に読まれているという。絶えざる人気の秘密は何なのか。各人各様の『人間失格』がある。太宰生誕百年の今、作品の不思議な魅力について考えてみた。 太宰治の代…

現代日本における「いじめ」の蔓延

「毎日jp」6月26日版より転載 「誰もが加害者にも被害者になり得るのがいじめ」−−。文部科学省国立教育政策研究所は26日、小中高校の教員向けに作成した研修用資料「いじめを理解する」を公表した。インターネット上のいじめなど、大人の目からは見えにく…

新世代の当事者研究

全く自分でも呆れるほど我が儘勝手な研究生活を送ってきましたが、学者としては成功した、と思います。一般論ですが、研究者の育成においては、教師が優秀すぎると、学生はかえって伸びないものです。学生が、教師との学問的力量の差に絶望したり、同じこと…

依存症/キリスト教/グノーシス主義

20世紀の作家で、キリスト教とグノーシス主義の間を揺れ動いたという点で日本の太宰治(1909-1948)に似ているのは、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディック(1928-1982)ではないでしょうか?ふたりとも、薬物中毒に陥り、いったんはそこからキリスト教信…

小説「人間失格」の現代的受容

(前略)普通は、『人間失格』から読み始める人が多くて、今でも一番読む人が多いわけです。聞いてみると「本当にこれで救われた気がした」という。つまり、自分より弱くて自分より不器用な奴がいて、それが最後には、写真でいえば、それまで全部ネガみたい…

大学休講

勤務先の愛知学院大学日進キャンパスで、23日に新型インフルエンザの患者が発生し、24日から28日まで全面休講となりました。マンモス大学だから時間の問題だとは思っていましたが、おそらく後日補講措置があるので、嬉しくはありません。

「人間失格」または日本的グノーシス主義(2)

自分は神にさえおびえていました。神の愛は信じられず、神の罰だけを信じているのでした。信仰。それは、ただ神の鞭を受けるために、うなだれて審 判の台に向かうことのような気がしているのでした。地獄は信じられても、天国の存在は、どうしても信じられな…

戸田城聖氏とアルコール問題

創価学会二代会長・戸田城聖さんや戸田さんの友人だった元・宗教学会会長・小口偉一さんが、「アルコール依存症」であったか、という問題について。 戸田城聖さんが、たいへんな酒好きであったのは確実です。 http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20090308 単なる…

自殺問題を考える

斎藤貴男さんが角川学芸出版から「強いられる死自殺者三万人超の実相」を出版されました。毎年、3万人超の死者、市が毎年消えていくほどの勢いの実相下記の福祉ネットワークが、まだ踏み込めてないところを、心を深く痛めながら伝えていると思います。朝日…

大阪希望館

「大阪希望館」の就業支援業務が始まりました。その活動の詳細につきましては、来月中にホームページを立ち上げて広報していきます。 7月11日(土)に設立集会をします。是非ご参加下さい。会場は300人収容のところですので、関心のある方々に宣伝して…

ディックのSF作品と記憶操作・気分操作

近年、生命倫理の領域で、エンハンスメント(心身強化、増進的介入)の是非がホットな話題となっています。エンハンスメントのもっとも重要な問題のひとつは、「幸せな魂」を追求ために、記憶の操作や気分(mood)の操作を行ってよいのか、という論点です。…

「人間失格」または日本的グノーシス主義(1)

近代日本文学の古典である太宰治の小説「人間失格」(1948)では、主人公は、「恐ろしい父」との希薄な関係を「神のイメージ」に投影して「残酷な神」のイメージを作り上げる一方で、主人公については、「神様のようにいい子」という肯定的な評価を第三者に…

6万アクセス到達

本日、6万アクセスに到達しました。新年が2万4千アクセスだったから、一日平均200アクセス以上、という計算になります。

学会テーマセッションの反響

今年の「宗教と社会」学会で、私が企画・司会を務めたテーマセッション「『民衆宗教』研究の新展開(2)ー『民衆宗教』とフェミニズムの対話」に対する聴衆の反応は、次のようなところが平均的かと思います。 http://d.hatena.ne.jp/ykoike/20090608 http://…

太宰治と「性教育」

(前略)だが、彼の性方面に早熟だったことは読書(熊田註;原文旧字体)よりも或は次のことに影響されたのかもしれない。それは彼が六七歳(原文旧字体、以下、単に旧字体と表記)の頃から、もう女中や下男から淫らな露骨な性教育を受けて居たことであった…

太宰治『走れメロス』とホモソーシャリティ

「高校学びの広場:金子さんの走れメロス論」http://hs-manabi.epoch-net.ne.jp/archives/2006/04/post_19.htmlより引用 太宰のテクストを1940年にこうして連れ戻してみるならば、そこに当時の社会状況が正確になぞられていることがわかるだろう。「走れ…

アメリカのメガチャーチ

「世界キリスト教情報」第960信より転載◎米のメガチャーチ、45歳未満層に人気 【CJC=東京】米国では「メガチャーチ」が若手成人層にとって魅力的な存在になっており、礼拝に来る人が増えている。「メガチャーチ」のほとんどがプロテスタント、特にペン…

太宰文学と性的虐待

太宰治が実際に性的虐待を受けながら育ったのかどうかはわかりませんが、太宰に性的虐待をテーマにした作品が多いのは確かです。やはり、何らかの実体験があったと推測されます。『男女同権』(初出1946年)における少年が受けた性的虐待の描写は、「主体に…

太宰治の父子関係(2)

私の父は非常に忙しい人で、うちにいることがあまりなかった。うちにいても子供らと一緒には居らなかった。私はこの父を恐れていた。父の万年筆をほしがっていながらそれを言い出せないで、ひとり色々と思い悩んだ末、ある晩に床の中で眼をつぶったまま寝言…

ベルナール・ビュフェ

今日、NHK教育テレビの「日曜美術館」で、ベルナール・ビュフェ(1928-1999)の特集を見ました。ビュフェは、高校時代に好きだった画家です。私の記憶に今も鮮明に残っている作品「親子」(だっけ?)も紹介され、ビュフェは、多忙な工場経営者であった父親…

太宰治の父子関係(1)

何という失敗、自分は父を怒らせた、父の復讐は、きっとおそるべきものに違いない、(太宰治「人間失格」『斜陽・人間失格・ 桜桃・走れメロス外七編』文春文庫、2000年(初出1948年);p191) 「うん、そう。(熊田註;神様は)シゲちゃんには何でも下さるだ…

癒しの基本にあるもの

かつては「シャーマニズムと呪術にすぎない」(小口偉一)と片づけられていた新宗教は、全共闘世代の宗教社会学研究会によって日本人の「共同性の最後の基盤」とみなされるようになりました。そして、21世紀に入ると、かつては新宗教の中でも「淫祠教」的側…

SSRIまたはグローバリズムの阿片

*「愛知学院大学人間文化研究所所報」35号より転載 安倍晋三元首相は、2007年9月に、「体調不良」を理由に突如政権を投げ出しました。病名は公表されなかったけれども、潰瘍性大腸炎(過敏性腸症候群の一種)でしょう。安部氏に、「緊張すると下痢をする」…

治療文化としての「淫祠教」的救済行為

<渡辺順一「救いの場のジェンダーとセクシュアリテイ−非対称的な親密性の発生をめぐって−」『宗教と社会』学会第17回大会発表レジュメ、2009年より引用>戦前期、金光教のスタンダードな教会の信徒数は、数百人〜数千人規模だった。明治10年代から始まる大…

天理教教祖は強い父の夢を見たか?ー日本の宗教界と宗教学の共犯関係ー

*『愛知学院大学人間文化研究所紀要』24号より転載 <題名>「天理教教祖は強い父の夢を見たか?―日本の宗教界と宗教学の共犯関係―」 <著者>熊田一雄(宗教文化学科准教授) <Title>“Did the Founder of Tenrikyo Dream of Strong Father?―Complicity b…

大阪希望館設立イベント

「大阪希望館」は、今月から大阪市内北部に相談センターを設置し、常駐相談員による支援業務を開始しました。今後の予定は、7月11日(土)のオープン・イベントの後、運営協議会を発足させて、幅広い市民の手による希望館運営と、希望館を拠点にした、「…