太宰治と女性の侠気

太宰の「人間失格」の中に女の義侠心に触れた箇所があります。「自分の経験によると、少なくとも都会の男女の場合、男よりも女のほうが、その、義侠心というべきものをたっぷりと持っていました。男はたいてい、おっかなびっくりで、おていさいばかり飾り、…

茶道人口減少の原因

https://note.com/sototakei/n/nd27030020275 より転載 本記事は「茶道人口減少の原因について」の第三章です。 ではいよいよ本題に入りたいと思う。 ここでは私が流派内外で得てきた個人的経験や知識に基づいて書く。3つの原因とは、「免状の価値の凋落」、…

「手を触れる」ことの治療的意味

toyokeizai.net 川嶋:日本語の「触れる」という言葉には、直接触れるというだけでなく、心に触れるという意味もあります。心をこめた手で触られれば、相手は共感されている、支えられている、励まされていると感じ、苦痛や緊張が緩和され、心拍数や血圧が下…

現代宗教とゆとり

現代の日本人の宗教生活を考える上で、「ゆとり(余裕)」はとても大切な概念なのに、学術的研究はない。「世の中には、善人と悪人がいるのではなく、ゆとりのある人とゆとりのない人がいるのである」(精神科医の故・中井久夫氏)。狭い意味での宗教心は、…

藤井風の人気とタイ上座仏教

藤井風の「死ぬのがいいわ」の世界的人気は、日本でも欧米でもなく、上座仏教の国タイから火がつきました。藤井風の「ハイヤーセルフ(自分の中の理想の自分)」の観念と上座仏教の「仏性」観が共鳴現象を起こしたのでしょう。

宗教と世俗、そして想像力の慣用語

前のジョージ・サンタヤナについていえば、彼は全能の神の存在を信じていません。不信心者ですから、分類すれば無神論になりますが、それにもかかわらず神という考えは、彼の中に生きているんです。彼にいわせれば、“idioms of imagination”(想像力の慣用語…

大本における短歌と茶道

https://reikaimonogatari.net/index.php?obc=B195402c8511 https://reikaimonogatari.net/index.php?obc=B195402c8513 大本の男性教祖・出口王仁三郎は、短歌については、昭和2年(1927年)に「明光社」(昭和24年(1949年)に大本「楽天社」になる)を設立して信…

茶道・短歌、ゆとり、統合失調症

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11254697976より転載 私も統合失調症で茶道を習っていました。茶道のお点前は身に付きませんでしたが、茶道を習った経験から、今は自己流で短歌を作って病気とは付き合えるようになりました。茶…

天理教と科学宗教複合世界観

秋治・shin『生命(いのち)の進化 令和編ー科学の進歩で見えてきた「元の理」』(養徳社、2022年)を読了。比喩的に理解されてきた天理教の創世神話「元の理」を、現代科学と一致するものとして読み直す試み。天理教も、科学宗教複合世界観を採用するに越したこ…

大本における美とユーモア

日本の近代化の中で登場した神道系新宗教・大本、特に男性教祖・出口王仁三郎が美とユーモアを大切にしたのは、急速な近代化(西洋化)の中で切り崩されていく「ゆとりの文化」を大切にするためではなかったでしょうか。茶道から男性が去っていったのは明治以…

「推し」と依存症

精神科医の中井久夫さんは、野球や相撲に贔屓のチームや力士があると、アルコール依存症は治りやすくなる、なぜなら、この世界に「同一化」できる対象がいるからだ、と書いていました。近年、若者のアイドル文化で「推し」という言葉が普及したのは、若者の…

「芸術は宗教の母なり」と「心のゆとり」

https://oomoto.or.jp/wp/geijyutu/より転載 芸術は宗教の母なり 神さまは〝大芸術家〟 大本ではみ教えに基づき、茶道、能楽、武道、書道、短歌、八雲琴、陶芸などの日本の伝統的な芸術文化に親しむことを奨励し、活動しています。 芸術は宗教の母 「芸術は…

死ぬのがいいわ・意味

「死ぬのがいいわ」に出てくる「あんた」とは、作詞者の藤井風としては、「理想の自分」(ハイヤーセルフ)のつもりだったそうです。 https://mdpr.jp/news/amp/3531088

ソンタグのアルトー論

アメリカ人スーザン・ソンタグの『アルトーへのアプローチ』(みすず書房、1998年(原文1973年))を読了しました。アントナン・アルトーをグノーシス主義者として捉えるとても興味深いアプローチです。日本人がまだありがたがっている、フランスのドゥルーズ=ガ…

中村哲と侠気

私の父も、「男なら、やらんにゃあ!」という、非常に泥臭い、文字通りの活動家でした。行動する人です。 右翼にもけっこう知り合いがいたし、弱い者のために立ち上がるというところがあった。祖父の金五郎(任侠の大親分ー熊田注)とは、男同士共鳴するものが…

男性性と宗教文化

拙著『格差社会の宗教文化ー「民衆」宗教の可能性を再考するー』に、フェミニストの橋迫瑞穂さんがレビューを寄せてくださいました。 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1COS2VB9SO5DL/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4833111454 「男性…

レディオ・ヘッドとグノーシス主義

http://www5f.biglobe.ne.jp/~letsrock/history_Radiohead.html より転載 充実した2000年を迎えたバンドは同時期に制作し終わっている作品を2001年にリリースすると発表し、予告通り2001年の6月に新作「アムニージアック」をリリース。「人間は生まれる時に…

SNS以上しがらみ未満の居場所

https://mainichi.jp/articles/20230112/k00/00m/040/071000c より転載 居場所は「質より量」です。「ここがだめならば、ほかがある」と思えるくらいがいい。こども食堂のように「SNS(ネット交流サービス)以上しがらみ未満の居場所」を大人も無数に持てる…

この世は生きるに値するのか?

https://telling.asahi.com/article/14808499 より転載 この作品で心を打たれたのが、登場人物の「この先の世界が生きるに値するのかを見てみたいと思った」という言葉でした。『火狩りの王』は最終戦争後の世界が描かれているので、もともと子どもたちは光…

依存症と「自認」

依存症は、「否認の病」であるとよく言われます。では、「否認」の反対語は何でしょうか?「自認」という言葉が良いのではないでしょうか。これは、私の宗教心理学の授業をとっている学生がリアクション・ペーパーで使っていた言葉です。

中島みゆきの音楽と天理教

私の知る限りでは、天理教の教義をもっとも全面に押し出した、中島みゆきの楽曲。 「月日すべての悲しみを癒せ」。「月日」とは、天理教の教義では神様((宇宙)親神・天理王命)のことで、これは祈りの音楽です。グリーフ・ケアをテーマとした曲だとも言え…

依存症の自助グループにおける人間関係

(前略)また、死生観やセルフヘルプに関わるスピリチュアリティは、いずれも限られた範囲の危機や苦難と立ち向かうためのものであり、広く、あらゆる立場の人々に語りかけようとするものではない。斎藤学の「問題縁」という語は示唆的である。問題を分け持つ…

平野楢造と天理教の国策迎合

https://note.com/yamashinakankyo/n/nd8f3413bbc6e より転載 付け加えて書いておくなら、この平野楢蔵は中山みきの死後、古くからの信者の人たちに「天皇陛下のことを神さんと認めないとは何ごとか」「お道がつぶれてもええんか」と日本刀を突きつけて脅して回…

Z世代の日本人と「優しい地獄」

毎日新聞オンラインより、転載 「『コスパ最強ランチ』が500円ぐらいで食べられるなど、日本は比較的生活しやすいですね。給料はなかなか上がらないようですが、商品やサービスは安くて質がいい。知り合いの日本人ミュージシャンが『優しい地獄』と言ってい…

「鬼滅の刃」研究会の案内

次のような研究会があります。「鬼滅の刃」に興味のある方、気楽にご参加下さい。 ◆◆◆◆◆ 第2回 社会臨床研究会――『鬼滅の刃』に学ぶ (1) のご案内 ◆◆◆◆◆ 日時 2023年2月18日(土) 13:30~17:00 (予約不要、直接会場へ) 場所 東中野区民活動センター洋室4号 (…

本・音楽・将棋・猫

私は、本と音楽と将棋があり、猫がいれば、充分生きていけるのではないかと思います。本を読むのは、仕事です。音楽(特にジャズ)を聴くのは、仕事の気分転換です。将棋を見るのは、自分の理系的部分を解消しているのでしょう。猫は心の友です。

中村哲と精神科医の経験

http://samidare.jp/masuko/sp/note?p=log&lid=479468より転載 一人暮らしを始めたのは、そうして国立肥前療養所に勤務するようになってからです。病院は佐賀の山中にあり、周辺には空き家の百姓家が多かった。そのうちの一軒を借りていました。家は人が住ま…

宗教研究と「想像力の慣用語」

前のジョージ・サンタヤナについていえば、彼は全能の神の存在を信じていません。不信心者ですから、分類すれば無神論になりますが、それにもかかわらず神という考えは、彼の中に生きているんです。彼にいわせれば、“idioms of imagination”(想像力の慣用語…

天理教と家父長制の現在

天理教教団内の一部で出回っている(天理教婦人会河原町支部発行)、フリーペーパー『YOME-YOME』ーこの家父長制丸出しのネーミング!ーは、1万部以上刷っています。もちろん、読まずに捨てている信者も多いでしょう。それに対して、天理教の「フェミニスト教…

日本仏教と社会倫理

島薗先生の、日本仏教理解における鎌倉仏教中心主義を批判した「仏教と社会倫理」の講義をオンラインで拝聴。私は、京都の泉涌寺幼稚園の出身で(真言宗の泉涌寺は皇室の菩提寺)、奈良の東大寺学園の出身でもあるので(東大寺は金光明経による正法に基づく政治…