2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

連合赤軍事件の背景

昨日NHKのクローズアップ現代で連合赤軍特集を見ていたら、参加者は、「われわれは、ベトナムのようなアジア人民の血を吸って豊かになったのではないか」という罪悪感からアメリカ追従の日本政府に対する反体制運動に身を投じた、そうです。こういうことを、…

21世紀の侵略戦争

私は大学で、経済の相互依存が進んだ21世紀の世界では、国民国家同士の総力戦はないと教えてきました。合理的に損得計算ができる政治的指導者なら、侵略戦争には踏み切らない、ということです。しかし、プーチンのように合理的な計算をしない政治的指導者の…

アルコール依存症の患者数

現代日本におけるアルコール依存症の患者数は、軽症の人を含めると400 万人以上、足治療が必要な患者が約100万人と言われています。このうち、医療につながっているのは5万人ぐらいだそうです。断酒会のメンバーは約8500人、AAのメンバーは推計で約8000人だ…

オウム真理教と「シッダールタ」

現代日本におけるグノーシス主義の潮流 現代日本の若者の心象風景は、軽薄なまでにひたすらに「明るさ」や「ポジティヴ」を追究する動きと、「(愛の)神も仏もあるものか」というグノーシス主義的なニヒリズムに二極分解している。本章で取り扱う、村上春樹…

孤立とつながり

https://news.yahoo.co.jp/articles/c2d924a16dcfcb9e11fe426021f18a9522563204?page=1

競争社会と明るい言葉遣い

4年前、日本の女子カーリングチームの「そだねー」が流行語大賞になりましたが、あれは、「ネガティブな言葉は用いない」という方針に基づいていたそうです。今年は、「ナイスー」に変わったようです。このように、明るい言葉(「光明思想の言葉」)を用…

押井守と現代人の孤独

私見では、アニメ『天使のたまご』(1985)は、押井守の最高傑作です。精神科医のサリヴァンが人間の精神的発達にとって決定的に重要であるとした「前思春期の親友関係」とそれが可能にする親密性の欠落した若者の孤独な心象風景を見事に描いています。登場す…

「陰の者」の反撃

バーバラ・エーレンライクによれば、アメリカのポジティヴ・シンキングにおける明暗二分法は、カルヴァン派の善悪二元論の影響を受けているそうです。日本でも、1980年代ごろから、明暗二分法が人物評価において幅をきかすようになり、「根明VS根暗」、近年…

折口研究から新宗教研究へ

島薗先生の折口信夫に関する3回連続のズーム講演会を拝聴しました。修論で折口信夫を扱い、その後新宗教研究へ進まれた内的必然性がよくわかり、ミッシング・ピースが埋まって、有意義でした。

故・吾妻ひでお氏とアルコール依存症

漫画家の故・吾妻ひでお氏がアルコール依存症から「回復」することに成功したのは、性格が「素直」であり、自分を漫画にして笑い飛ばす「ユーモア」感覚があり、オブジェ作りという「根気のいる趣味」を持っており、「ヒゲを立てた」ことで妻や母から自立し…

佐藤春夫の石原慎太郎評

「こういう風俗小説一般を文芸として最も低級なものと見ている上、この作者の鋭敏げな時代感覚もジャナリストや興行者の域を出ず、決して文学者のものではないと思ったし、またこの作品から作者の美的節度の欠如を見て最も嫌悪を禁じ得なかった」(「社会が震…

カネッティのパラノイア論

すなわち、パラノイア妄想においては宗教と政治が分かちがたく錯綜しているという事実である。世界の救済者と世界の支配者とは全く同一の人格にほかならない。それの核心においては、一切が権力渇望である。パラノイアは文字どおりの意味で、権力の病いであ…

足を洗い合うことと「心のゆとり」

イエスは、よく弟子たちの足を洗ってやると同時に、弟子たちに「足を洗い合うように」とアドバイスしていました。足を洗うことは、謙譲の身振りであるとともに、「病者の足は、しばしばひどく汚れている」(中井久夫)。顔のような人目につく所は洗っていても…

オープン・ダイアローグと経済

「n対n」の心理療法であるオープン・ダイアローグは、その狙いとするところは、よく理解できます。「1対1の密室カウンセリング」自体が、カトリックの告解の伝統の上に立つ特殊なものだったのでしょう。しかし、先進国では薬価より人件費の方がはるかに高い…

天理よろず相談所病院と「やすらぎの看護」

https://www1.tenriyorozu.jp/kakubu/kangobu/kihonhoshin/kangobu-aisatsu「治らない病気は山のようにあるが、介護できない病気はない」(中井久夫)天理病院の看護部を研究してみると、面白いかもしれません。

核のない世界と平和な世界

「核のない世界よりも、平和な世界を望む」(サッチャー)。私は賛成です。核の抑止力があるから、局地戦が少なくすんでいるのだと思います。核兵器は善か悪かといえば悪に決まっているし、広島・長崎の被爆者の方々は、誰が見たって気の毒な被害者です。しか…

アメリカにおける『人間失格』

そうかな?現代アメリカでは、太宰治の『人間失格』は、「少年への性的虐待」を描いた本として読まれているのではないでしょうか。https://news.yahoo.co.jp/articles/7b6bab5363853deba25e1cc556411c4c599632ce

アルコール依存症とユーモアと「ゆとり」

アルコール症は治療上、活用できる特性を持っているだろうか。 いる、と私は思った。統合失調症の治療が主であった私には、患者がユーモアを理解するようになるのは回復途上の重要な目安であった。「あせり」の中にいるうちはユーモアが湧き出ないし、理解も…

自助グループの日本社会への浸透

私の教えている学生でも、「パチンコの自助グループに通っています」という若者が出てきました。依存症の自助グループは、一過性の流行などではなく、確実に日本社会に浸透しつつあるようです。もちろん、依存症の患者が増加しつつあるという可能性も考えら…