2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

天理教とジェンダー不平等

天理教婦人会河原町支部・あゆむ会が発行している「YOME-YOME」ーこの家父長制丸出しのタイトル!ーは、なんと1万部以上出ているそうです。天理教のジェンダー平等への道は、遠いようです。 https://note.com/be1960/n/ne0ed6af8ae97

合理主義・生命主義・グノーシス

人文書院は、デカルト流の心身二元論に反発して、「心から体を治す」民間精神療法の大正期における流行に共鳴する形で出発しました。民間精神療法の流行は、その後、新宗教に吸収されて、生命主義的救済観となりました。他方、人文書院の後継者たちは…

朝日新聞における宗教とジェンダー

https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S15483167.html 論壇時評)新興宗教と女性 「信仰」通し搾取、社会の縮図 東京大学大学院教授・林香里 朝日新聞の昨日の「宗教とジェンダー」に関する記事はひどかった。まず、「新興宗教」というのは差別用語で用…

村上春樹と実存主義

村上 ぼく、一年半ばかり前から、半年間位フランス語をやって、カミュの『異邦人』を読んだんですよ。あれ面白かったけど、小説としてはそれほど面白くないんですけどね、でも一種のメッセージでしょう、あれ。まあ一種の寓話ですね。でも、ああいう小説はい…

無意識の同性愛嫌悪

「宗教とジェンダー」の講義で、ニューギニアのサンビア族における、少年が「男らしい戦士」になるために、先輩戦士の精液を飲む(「授乳」してもらう」)という事例の話を紹介したら、男子学生から「気持ち悪い」という反応が頻出しました。「無意識の同性愛…

子どもの遊びの貧困化

この「遊び」も、昔と今では大分変わってきています。昔の子供の遊び、例えば「鬼ごっこ」には、その中に「体を動かす」「自然と接する」「質の良い人間関係」が含まれています。一方、今の子どもの代表的な「遊び」である。コンピューターゲームには、三要…

今年度の達成

このブログ、今日10万アクセスに到達しました。今年度の私の最大の達成は、単著を出版したことではなく、1.断酒生活が6年目に突入した、2.体重を10キログラム落とした、という健康上の達成でしょう。

複雑性PTSDからの回復者

神田橋 患者さんに励ましの言葉として常用しているのは、世の中に役に立たない経験なんていうのはひとつもないよ。それが先程のディスカッションに対する答えです。絶対、大きなトラウマを乗り越えた人はみんなすばらしい人になりますよ。だから、それが楽し…

複雑性PTSDと人間の自然回復力

なお人間の自然回復力を促す四因子として「①からだを動かす、②自然を楽しむ、③良い人間関係を味わう(相手が動物でも可)、④遊ぶ」が知られています。この四因子には、敵対・混乱モードから友好・安心モードへの移行をサポートする作用があります(原田誠一「私…

悪の凡庸さ

葉梨(元)法務大臣の「死刑のハンコを押すだけ」発言は、アーレントがナチスのアイヒマンを論じた「悪の凡庸さ」を連想させます。もっとも、現実のアイヒマンは、平凡な役人ではなかったようですが。葉梨氏は、死刑制度について真剣に考えた経験がないようで…

スマホ依存と「斜めの関係」

スマホ依存を治療するための野外キャンプの試みの紹介です。 https://youtube.com/watch?v=rHEHakyxx-U… 子どもたちに大学生のメンターをつける、というのがミソでしょう。「無用者との斜めの関係」を通して精神的に成長させているのだと思います。 https://…

村上春樹と実存主義的なもの

村上春樹のデビュー当時のインタビュー「半年間くらいフランス語をやって、カミュの『異邦人』を読んだんですよ。…あれ読んでから、書こうかなという気になった」「私の文学を語る」(聞き手・川本三郎、『カイエ』1979年8月号)。 *村上春樹の出発点からあ…

オウム真理教とグノーシス主義的なもの

あまり知られていないことですが、オウム真理教の信者には、ヘルマン・ヘッセが修行者を描いた小説『シッダールタ』の愛読者が少なくなかったようです。大衆化したグノーシス主義的なものが、事件の底流にあります。 https://books.rakuten.co.jp/rb/1718165…

「機責め」を禁止する法律の必要性

旧統一教会問題に関して、人間の相互作用を重んじる社会学では、そもそも「マインドコントロール論」を認めません。私は、宗教団体は浄土真宗でいう「機責め」(相手の罪悪感を煽り立てる危険な布教)をしてはいけないという法律を考えれば良いのではないかと…

新海誠『天気の子』とジェンダー

テレビで、新海誠の大ヒットアニメ『天気の子』を見ました。空と都市の絵は見事でしたが、「天気の巫女は人柱」という設定、「少女の胸」にこだわった視線に、ジェンダー保守を感じました。もちろん、ジェンダー保守の作品だからこそ、大ヒットしたのでしょ…

弱者嫌悪

「弱者への愛には殺意が満ちている」(安部公房) *絵に描いたような弱者嫌悪(ウィークネス・フォビア)(上野千鶴子)です。安部公房も、「男らしさという病」から自由でなかったようです。

民間精神療法・生命主義・グノーシス主義

明治時代の近代的な心身二元論に反発する形で、大正時代に全盛期を迎えた民間精神療法のブームは、その後、一方では大正生命主義と合流して一般大衆向けに新宗教の生命主義的救済観となり、他方では、人文書院がヘッセやサルトルの翻訳を広めるという形で、…

複雑性PTSD

「 生きとし生けるものは皆、複雑性PTSDである。そして生育の中での自然発生的なトラウマ焦点化治療が起こっているからこそ、なんとかまあまあ平和そうに日々を生きているに過ぎない」(神田橋條治)。 *ごもっともです。

「解説者」という援助法

発達障害に対する支援として、多くの指導が行われている。指導は必要でありとても重要であるが、行動を指示する「指導者」よりも、状況を解説する「解説者」のほうが灰色事例には重要である(青木・村上(編)『大人の発達障害を診るということ』医学書院、2015…

利他主義の本質主義的説明に向けて

人間の利他主義の本質主義的説明は、不毛であるとされてきました。しかし、考古学の最近の成果を踏まえると、可能ではないでしょうか。約7万年前のスマトラ島のトバ火山の大噴火によって、気候の寒冷化が起こり、現生人類は絶滅寸前にまで追いやられ、アフリ…

思想史のなかのジェンダー研究

私は、上野千鶴子さんの女性学は、江戸時代以来の「女性の侠気」の伝統に、「男たちよ、男らしく男らしさの鎧を脱ごう」という伊藤公雄さんの男性学は、明治武士道の伝統に連なっていると思っています。上野千鶴子さんの方が大衆性がある所以です。 https://…