2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

急激な変化と大衆運動

エリック・ホッファーによれば、「急激な変化は過激主義をもたらす」。かつての日本の全共闘運動の過激さの背後には、もちろんそれだけが原因だったとは思いませんが、「急激に豊かになった者の後ろめたさ」もあったのでしょう。1950年代60年代の創価学会の…

ヤマザキマリの男性論

私が男性と言う異性に求めてしまうものは、そういった「強さ」的な事では一切ない。男の責任感なんていうのは後天的に作られた人為の似非(エセ)要素であって、本来は地球の上で起き得るあらゆる自然現象や人間との関わりの中で、一見何の合理性も必然性もな…

宗教家のボディーガード

「宗教的平和VS暴力」という二分法を脱構築する最も簡単な方法は、宗教家のボディーガードに注目することです。かつては、天理教教祖・中山みきのボディーガード、悔い改めた元ヤクザの大親分・平野楢造や、大本の教祖・出口王仁三郎のボディーガードにして …

安部公房の小説と暴力

安部公房の大病院を舞台にした小説『密会』に、病院内の「警備員」(暴力部隊)の男たちを「99を言わせる」ことで操っている試験管ベイビーにして「人間関係中枢失調症」の副病院長秘書の女性が描かれていました。「暴力のアート」(暴力の制御可能性を…

アルコール依存症の治療率

第七に、精神科においてはアルコール症の初期治療というものは存在しないも同然である。必ず慢性、多くは重症ばかりである。遅すぎるスタートであるから、治療率二〇%も無理がない(中井久夫「煙草との別れ、酒との別れ」『中井久夫集10』みすず書房、2019年(…

蘇る三島由紀夫

少し難しいかな、と思いながら定期試験問題で、三島由紀夫の提唱していた「美としての天皇制」を説明せよ、と言う問題を出したら、ほぼ完答でした。やはり、三島は未来を見ていたのだと思います。

加齢によるACの自然治癒

(前略)人の記憶は一般には好ましい記憶の方が残りやすいのですが、心の傷(トラウマ)という深さがあれば、必ずしもそうではありません。しかし、トラウマティックな記憶でも次第に浄化されて懐かしいものとなることがあります。「鬼のような親」だったはずが…

アルコール依存症とユーモア

アルコール症は治療上、活用できる特性を持っているだろうか。(中略) アルコール症のユーモアが、たとえ自嘲的であれ、自虐的であれ、とにかくユーモアはユーモアである。アルコール症の人たちは、たとえ絞り出すようにしてでも、とにかく自己観察をし、「ゆ…

精神科医が見た患者とは

私は精神科医として四十何年かを過ごしてきましたが、患者とは、あるいは患者も含めて不幸な人とは、考え、考え、考え、考えている者だということを言ってもよいだろうと思います。幸福な人とは、明日も今日と同じであってもよいと思っている人のことだとい…

認知症の人の自尊心

いかにして認知症の人がプライドを持つことができるか、と言う問いがあるかもしれません。それは、人として大切にされ、存在していることを、ここにいることが喜ばれているという感覚を持つことでしょう。それが日々のやりとりの中に認められることです(中井…

プラセボー効果

(前略)プラセボー効果は医学界では「幻の足し算」とみなされがちなようだが、「服薬に伴う生体反応のマイナス面を打ち消すことによって自然回復力を促進する」と考えてみてもよいのではないだろうか。その中には心理的要因とともに生理的要因もあると私は思…

依存症からの回復と生活多様性

前者(軽症の場合ー熊田注)でも、私はよく食べ物の話、野球や相撲の話、旅の話をした。これは雑談ではなく、頭の中の宴会療法である。酒との別れには生活多様性がなくてはかなわないからである(中井久夫「煙草との別れ、酒との別れ」『中井久夫集10』みすず書…

みんなで平等に貧しくなろう?

タワマン高層階に住み、豪華な別荘もお持ちの元東大教授に、「みんなで平等に貧しくなろう」と言われてもねえ。エリック・ホッファーによれば、かつての学生運動の過激さの大きな原因は、「急激に豊かになったことへの後ろめたさ」にあったそうです。上野氏…

抗精神薬とプラセボー効果

私の考えでは、プラセボー効果は暗示によるものではない。いや、結果的に暗示のようにみえるかもしれないが薬の服用にまつわる不安が薬の効果を減殺しているほうが大きいと私は思う。この不安を最少限にすることが重要であると私は思う。そもそも得体の知れ…

酒との別れ

以上の反対が後者である。妻子友人が見放し、一切の趣味がなく、食べ物の好みもなく、アルコールなら何でもよく、ひいきの力士も球団もない場合。しかし、第二グループでも変化が起こらないではない。例えば身体病である。これによって、前者に移行する可能…

薬の作用を受け入れる気持ち

(前略)薬だって、機械からポトンと処方箋が出てくるより、「効くといいね」とか、「効きますように」と祈りをこめて処方箋を手渡すほうが、本当によく効いてもおかしくないと思う。まず、そのほうがきちんと飲んでくれる確率が高いだろうし、薬の作用を受け…

不幸の皮をかぶった幸運

第三は生命にかかわる身体病である。狭心症、心筋梗塞になれば、たいていの人が酒に別れを告げる。これで生命が助かれば「不幸の皮をかぶった幸運disguised blessing」である(中井久夫「煙草との別れ、酒との別れ」『中井久夫集10』みすず書房、2019年(初出2…

初期の幸福の科学における反省法

では、大川の反省法とはどのようなものかー1. 「少欲知足」を理解しなさい。2. 他のせいにするな、原因は全て自分にあると理解しなさい。3. 自分の欠点を修正していく努力が大切であると理解しなさい。 この三つが講義の柱になっている(関谷晧元『虚業教団』…

牧口常三郎と「貧しい子への共感能力」

まずしい階層からの高等教育への道は確実にせまくなっている。狭義の教育費の問題だけでなく、周辺費用のみならず、教育そのものが比較的豊かな階層に適合した雰囲気のものとなっている。高等教育においてはもちろん、初等教育においても、それが感じられる…

「ニッチ」(居場所)ということ

生態学で「ニッチ」(生態的地位)と言われるものは、ある種なり個体が環境と動的な平衡を保ちつつ生存のための諸条件を安定して維持できる領域を指すようであるが、そのような意味においてできるだけ多様な人々に「ニッチ」を発見し、再発見し、そこからヒゲ…

老人と「ニッチ」(居場所)

問題を一般化しすぎたかもしれないが、ぜひ言っておきたいのは、多様な「老い方」を許容するような社会を成熟した社会といい、一様な老い方しか許容しない社会は老人を「群衆」化し、老人には場がない社会は、老人を行き場のない悲劇的な「ボート・ピープル…

希少財となった教育

戦後、食糧からはじまった、国民の最も獲得したい対象(もの)は、電化製品や自動車をへて住宅で終わりを告げたかに見えたが、今や“教育”がその位置を占めつつある。それは、高度成長時代とはうって変わった社会にふさわしいが、ある階層以下のものにはその名…

老人を脱社会化しないこと

今後の老人を巡る社会的課題は、老人を脱社会化しないことである。青年の課題が社会への加入であり、その失敗を統合失調症に見ることができ、中年の課題が硬直的ないしは過度の社会化に抗して自分を維持することであって、その失調をうつ病に見ることができ…

東京事変とキリスト教・仏教

人気ロックバンド・東京事変の新アルバム『総合』のディスク1の冒頭曲は、「原罪と福音」でキリスト教がテーマ、ディスク2の冒頭曲は、「仏だけ徒歩」で仏教がテーマです。現代日本における救済宗教の伝統の根強さを感じます。 「原罪と福音」 https://sp.ut…

教団におけるエリートと大衆

後になって私はよく思ったものだ。「たくさん人を引っかけて、一緒に金儲けしようや」 とでも言ってくれたら、どんなにか気楽だったことだろう。たぶん喜んで一緒にやったに違いない。けれど、これほど一生懸命になることも、またなかっただろう。 ちなみに…

せっかく病気になったのだから

(前略)そのように医者というのは患者の側に立つ弁護士みたいな役割もあり、医者の権力というようなものもありまして、権力はどうせあるのだから善用すればいいわけで、せっかく病気になったんだからということで、例えば家族の方に「せっかく病気になられた…

精神科医の宗教観の偏り

患者が宗教に救いを求めることがある。宗教で救われないとは私は言わない。そういう場合は、精神科医の前から消え去るだろうからである。したがって、宗教に救いを求めつつ救われない患者しか見ていない偏りはあるかもしれないのだが、患者が宗教の他力的な…

アメリカにおける不安障害

*2013年8月15日の拙ブログからペーストしました。近年の調査データを探してみたのですが、見つかりませんでした。「新自由主義と不安障害」という問題意識があまりないのかもしれません。http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_panic.html より転…

日本社会における覚せい剤とオピオイド

https://www.ncasa-japan.jp/you-do/treatment-method/drug-treatment-for-drug-addiction 幸い、日本ではオピオイド問題は今のところ深刻な問題にはなっていないようです。

アメリカにおけるオピオイド依存症と「絶望死」

オピオイド中毒死(「絶望死」と呼ぶ人もいる)は、アメリカ人の平均寿命を下がるほど深刻な社会問題となっている。しかるに、日本語版のウィキペディアでは、英語版にはある「オピオイド依存症」の翻訳もない。日本人は、アメリカを蝕む「格差と貧困」の問…