老人を脱社会化しないこと

 今後の老人を巡る社会的課題は、老人を脱社会化しないことである。青年の課題が社会への加入であり、その失敗を統合失調症に見ることができ、中年の課題が硬直的ないしは過度の社会化に抗して自分を維持することであって、その失調をうつ病に見ることができるとすれば、老人の課題は社会につながることであり、その挫折を老年期認知症に見ることができるかもしれない。これは、それぞれの病気の原因如何とは別の次元の問題である(中井久夫「世に棲む老い人」『「つながり」の精神病理』ちくま学芸文庫、2011年(原文1987年)、p233)。

*先見の明があったと思います。