2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

近代日本における宗教と侠気

「武士道」で知られる新渡戸稲造(1862-1933)、創価学会(当時は創価教育学会)の創始者・牧口常三郎(1871-1944)、近代的な「霊界」のイメージを確立した大本の聖師・出口王仁三郎(1871-1948)という3人の近代日本における「反骨の知の巨人たち」共通点…

天理教教祖の「力比べ」の起源

天理教の女性教祖・中山みき(1798-1887)が男性信者に対して行っていた「力比べ」については、先にブログ記事「天理教教祖の『力比べ』について」で考察を加えておきました。拙稿「天理教教祖と<暴力>の問題系」『愛知学院大学文学部紀要』37号、2008年も…

マスコミの勘違い

「週刊朝日」6月27日号を読んで、笑ってしましました。「『若者』に気をつけろ!ー無差別殺人犯と『親』の関係」という特集を組む一方で、「女性の品格」「親の品格」の著者・坂東真理子さんと娘さん(研修医)の対談が掲載されていました。「品格ブームと無…

武装としてのロリータ・ファッション

嶽本野ばらの小説「下妻物語ーヤンキーちゃんとロリータちゃん」「下妻物語(完)」を読了しました。2004年の映画版が佳作だったので、原作にも目を通してみました。主人公の竜ヶ崎桃子のロリータ・ファッションは、茨城県下妻市というジェンダーに関して保…

侠客としての牧口常三郎

軍部に抵抗して獄死した、創価学会(当時は創価教育学会)の初代会長・牧口常三郎(1871-1944)は、旗本奴(権力)の横暴に抵抗して惨殺された町奴、江戸時代初期の伝説的侠客「幡随院長兵衛」を主人公とした歌舞伎の影響を受けていたのではないでしょうか。…

SEAMOとビンタ一発分のフェミニズム

前回に続いてSEAMOネタです。私のジェンダー/セクシュアリティ論の授業を聴いていた学生らしく、SEAMOはジェンダーに自覚的だと思います。オフィシャル・HPでは、好きなマンガとして北斗の拳・男塾・魁男塾・男樹・天地を喰らう・サラリーマン金太郎・クロカ…

SEAMOの音楽と宗教

ヒップホップ・ミュージシャンのSEAMOこと高田尚輝君は、愛知学院大学在学中は私のゼミに所属していました。よく学生食堂で、ふたりで音楽談義にふけっていたものです。学生時代からTVに出演しており、音楽を勉強するためにアメリカに旅行するなど、私から見…

品格ブームと無差別殺人

秋葉原における7人が被害者となった無差別殺人事件が社会的話題となっています。この事件は、昨今の新自由主義の風潮と切り離して論じることはできないと思います。 2007年度最大のベストセラー、坂東真理子「女性の品格」(PHP新書、2006年)では、ブームと…

「癒し」の罠について

宗教社会学の会(編)「新世紀の宗教―聖なるものの現代的諸相」創元社、2002年より再録5・「癒しを求める人々」の陥りがちな罠 最後に本節では、現代日本で「癒しを求める人々」が陥りがちな罠について、1・「心のコントロール法」から「他者不在」へ転落…

鏡としてのオウム真理教

「新宗教新聞」1997年4月号のエッセーより再録 松本被告の初公判こそ、犯罪に関係しなかったオウムの一般信者を脱会させる絶好の機会であった。松本被告が頑として自身の松本アイデンティティを否定して、聖無頓着の教えをとうとうと述べた時に、裁判官は一…

目玉おやじの復権

*「愛知学院大学人間文化研究所所報」34号より転載 ポストモダンとも「第二の近代」とも表される現代の日本における理想的な父親像は、マンガ=アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(水木しげる原作)に登場する「目玉おやじ」ではないだろうか。 梶原一騎原作のスポ…

日本の宗教と死生観

http://fps01.plala.or.jp/~brainx/oomoto1.htmより引用 「宗教界は全体として慎重な立場をとっています。臓器移植そのものには賛否が分かれます。「臓器移植をすれば助かる、だから臓器移植には反対をしない」という宗教があります。しかし「脳死を死とする…

天理教教祖の「力比べ」について

1.天理教教祖の「力比べ」 少なくとも老境に達してからの明治時代の中山みきは、自分のもとを訪れた男性たちに、「力比べ」をもちかけて、簡単に負かしては、「神の方には倍の力」と説いていた。「稿本・天理教祖伝逸話篇」に、同じような話が複数記録され…

宗教者と被差別民衆

私は、池田士郎さん(天理大学)が「中山みきと被差別民衆」(明石書店、1996年)で展開しておられる「天理教教祖は全財産を貧しい人たちに施して、自ら被差別に落ちきった」という見解は、間違っていると思います。中山みきが、被差別民衆と「へだてる心」…

天理教とバックラッシュ

天理教の機関誌「みちのとも」2008年6月号には、「今に生きる先人の言葉」として、大正8年(!)の「生まれつき男性は理性的、女性は感情的だから、相補いあって『夫婦そろって』布教するように」という文章が紹介されていました。教団内バックラッシュは激…

創価学会と男性史

創価学会の歴代会長を男性史研究に引きつけて単純化すれば、「幡随院長兵衛」的な牧口常三郎、「清水の次郎長」的な戸田城聖、「プロジェクトX」的な池田大作、というように図式化できるように思います。戸田城聖は「三国志」「水滸伝」を愛読書としていたそ…