マンガ

立ち上がる女の子/それを支える男性

岩明均(大傑作・『寄生獣』の作者)の短編時代劇「剣の舞」が、私は大好きです。岩明均(原作)の『レイリ1・2』を読んで、理由がわかりました。私は、「立ち上がる女の子と、それを支える男性」という関係に惹かれるのです。「セーラームーン戦士」(戦闘…

ガロ三人娘

かつて漫画誌『ガロ』で活躍し「ガロ三人娘」と呼ばれた才能溢れる女性作家たち(近藤ようこ、やまだ紫、杉浦日向子)のうちやまださん、杉浦さんは残念なことにこの世を去られました。近藤ようこさんのますますのご活躍を心よりお祈りしていますー『五色の…

全共闘・リブ・少年愛

私は、地元徳島での大学時代のことを思い出していた。そういえば、彼らもそんな感じだったな。口で言っていることに、実際の暮らしや行動が伴っていない。 「私はね、今の学生運動なんか信用していない。高校生のときから学生も大人も信用していない。あの人…

準フェミニスト、ジルベール

男の子と女の子のふれあいだって、男の子同士のふれあいだって、人間同士のふれあいであることには変わりはないんですよ、ということが通じる相手ではない。だが、今私が本当に描きたいものが描けないのだったら、せめてこの作品のなかだけでも、淡い少年た…

マンガ『岡崎に捧ぐ』について

WEBサイトで話題になっていた山本さほのマンガ、『岡崎に捧ぐ(1)』(小学館、2015年)が単行本化されました。小学校6年生の女子、主人公の山本さんと親友の女子、岡崎さんの親友関係を、1990年代を舞台に描いたマンガです。このマンガがヒットしたのは、ア…

『寄生獣』映画化について

映画『寄生獣』、やっぱり見にいかないことにしました。私は岩明均の原作マンガの熱烈なファンで、マンガのネームを丸暗記しているほど何度も読み返しています。原作があまりにも傑出した作品なので、多少映画化の手法がマズくても、一定の出来映えにはなる…

マンガ『I』(1-3)

いがらしみきお『I』(1-3、小学館、2011-2013)を読了。宗教マンガの力作です。

大島弓子と精神分析

私は、「少女マンガ花の24年組」のなかでいちばん「紙一重」タイプなのは、大島弓子だと思っています。若い日に「F(熊田註;フロイト)式蘭丸」という作品を書いている大島さんは、精神分析にも造詣が深いと思います。特に、「山羊の羊の駱駝の」(初出1988…

マンガ「ワンピース」のオカマ

http://okwave.jp/qa/q5948308.html より転載 マンガ「ワンピース」のオカマ マンガ「ワンピース」のオカマ マンガもアニメもあまりまともに見てないのですが、ワンピースにはかなり大勢のオカマが出てきますよね。 少年誌で、あれほどオカマを出しているの…

ブラックジャックによろしく

『ブラックジャックによろしく』(全13巻)を一気読み。今なら、Book Liveで無料ダウンロードできます。統合失調症篇は参考になりました。大阪池田小事件のマスコミ報道によって、精神科入院患者の約1%が自殺したそうです。

「週刊少年ジャンプ」を支える女子

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK31007_R31C12A0000000/ より転載 発行部数300万部の「週刊少年ジャンプ」を支える熱い女子 日経エンタテインメント! 「週刊少年ジャンプ」といえば、『ONE PIECE』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』など国民的人気…

少女漫画における近親同性愛

「でも/パパの心の中にカギのかかった部屋があって/誰もそこには入れない/千万の愛をそそがれてもただひとつが得られないために/自分自身も世界も無価値だと思い込んでしまう・・・/そんな想いがあるわよね」 「―母のことをいっているの?」 「あは・・・ようやく…

オヤジ漫画

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1951662&media_id=128&m=1&ref=news%3Aright%3Aaccess より転載 ヘタレなのになぜかときめく オヤジの恋愛に特化した電子漫画誌「オヤジズム」の魅力 オヤジが主人公の恋愛漫画だけを集めた電子コミック誌がある。エヌ…

「バガボンド」復活

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1951958&media_id=86 より転載 「バガボンド」復活!井上雄彦インタビュー集も発売決定 約1年半休載が続いていた井上雄彦「バガボンド」の連載が、本日3月15日発売のモーニング16号(講談社)より再開された。 今号の「…

「変身」または「愛と食欲」の物語

西岡兄妹『カフカ』(ヴィレッジブックス、2010年)を読了。カフカ文学のマンガ化としては上出来で、お勧めです。「変身」を、(グレーゴルの妹)グレーテを隠れた主人公とする「愛と食欲」の物語として読み解いていたのは新鮮でした。

目玉おやじギャグ

カラ〜ン、コロ〜ン、カランカランコロン 「鬼太郎がきたろう。何かようかい。」 ー目玉おやじギャグでした(お粗末様)。

梶原一騎のマチズモー大澤真幸氏に対する批判

『朝日新聞』2012年1月31日号に掲載された書評で、社会学者の大澤真幸さんは、「飛雄馬やジョーはどこにいるのか」と題して、橋本健二さんの著書『階級社会ー現代日本の格差を問うー』(講談社、2006年)を評して、以下のように述べています。 http://book.a…

オバハンSOULー「女性の品格」を超えて

「もりやまつる」のマンガ「オバハンSOUL」(1-3巻、続刊中、日本文芸社、2010-2011年)が面白いです。もりやまつるは、大阪下町の人々ー創価学会に入会するような階層の人々ーの生活感覚を描くのが上手い男性マンガ家です。上野千鶴子さんは、「はじめて語…

高橋留美子論

ここでは、現代日本を代表する漫画家のひとりである高橋留美子(1957-)のラヴ・コメディ漫画を論じることにしたい。現代日本で50歳以下の人、特に若い世代の人間で、高橋留美子のラヴ・コメディ漫画に全く触れたことのない人は珍しいだろう。 イギリス文学…

大島弓子『ダリアの帯』

http://blog.livedoor.jp/chloe_chloe_chloe/archives/cat_50010832.html より転載 大島弓子は思春期特有の女子の過剰な自意識、過剰な自意識ゆえに揺らぐ気持ちに ここまで都合よい男がいるのか!?ってぐらい、この頃の「私って変なのよ!私のことなんか誰…

マンガ大賞決定

2011年度のマンガ大賞は、羽海野チカさんの『3月のライオン』に贈られることになりました。近年まれに見る優れたマンガ作品ですから、しごく順当な選考だと思います。

ケンヂの歌

日が暮れて何処からか カレーの匂いがしてる どれだけ歩いたら 家にたどり着けるかな 僕のお気に入りの肉屋のコロッケは いつも通りの味で 待っててくれるかな 地球の上に夜が来る 僕は今 家路を急ぐ 来年のことを言うと鬼が笑うって言うなら 笑いたいだけ笑…

るろうに剣心ー「不殺(ころさず)」の美学

Wikipedia「るろうに剣心」より転載 『週刊少年ジャンプ』(集英社)誌上において1994年19号から1999年43号まで連載。単行本はジャンプ・コミックスより全28巻。また後に完全版が全22巻で刊行された。全28巻の売り上げは4700万部 - 5000万部を記録しているヒ…

境界のRINNEー若者の死生観

高橋留美子のマンガ『境界のRINNE1・2』(小学館、2009年)を読了。「死神少年×霊感少女の放課後レクイエムコメディー」(帯から)で、『うる星やつら』『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』に少しも劣らない面白さです。仏教的な輪廻転生と西欧のスピリチ…

ひとりで生きる現実は夢

「ふたりで見る夢は現実」(オノ・ヨーコ) だとすれば、「ひとりで生きる現実は夢」でしょう。 自分ではない誰か。 目の前にいて自分を見つめてくれる誰か。 自分がいなくなってもその場に在りつづけ、自分と同じように世界を眺め語り死んでいくであろうそ…

目玉おやじの復権

*「愛知学院大学人間文化研究所所報」34号より転載 ポストモダンとも「第二の近代」とも表される現代の日本における理想的な父親像は、マンガ=アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(水木しげる原作)に登場する「目玉おやじ」ではないだろうか。 梶原一騎原作のスポ…

ケロロ平和主義 

J・モッセが「男のイメージー男性性の創造と近代社会」(作品社、2005年)で指摘しているように、「祖国・自己犠牲・死」というテーマの男性表象は、近代国民国家においてもっとも持続力をもつ強力なイメージです(60年安保における樺美智子さんの死につい…

高橋留美子とハンディ・ゲーム  

高橋留美子(1957-)は、子ども向けの通俗マンガ家と思われているのか、日本ではサブカル評論家に論じられることが少ない(論考をご存じの方はご教示下さい)マンガ家ですが、私は後世の人はこの人の才能を高く評価するだろう、と予想しています。アメリカの…