オバハンSOULー「女性の品格」を超えて

 「もりやまつる」のマンガ「オバハンSOUL」(1-3巻、続刊中、日本文芸社、2010-2011年)が面白いです。もりやまつるは、大阪下町の人々ー創価学会に入会するような階層の人々ーの生活感覚を描くのが上手い男性マンガ家です。上野千鶴子さんは、「はじめて語るメンズリブ批評」(東京書籍、1999年)で「女は『おばさん』になれば女を下りることができる」という意味のことをおっしゃっています。上野さんのいう「女を下りる」とは、「男からの承認を求める必要がなくなる」という意味でしょう。田中美津さんは、次のように書いていらっしゃいます。


 私が敬愛する上野千鶴子さん。彼女は「ウーマン・リブはしっかりと私たちのフェミニズムに継承されている」と言う。そうかなあ。継承されたのは上っつらの理屈の部分じゃないかしら。
 不埒がいのちの私のリブは、かのボディコン、スケスケルック、ガングロのヤングギャルたち、彼女らのあの過激さにそこはかとなく引さ継がれてているような……そんな気がする。
 男からの承認なんか、ハナから求めていないあのパワーに、世の顰蹙をモノともしないあの不敵さに、かつての私たちがダブって見えて、少しだけ懐かしい(田中美津『いのちの女たちへー取り乱しウーマン・リブ論ー(増補改訂版)』2004年(初出1972年)、p382)。


 その意味では、「オバハンSOUL」は田中美津さんのウーマン・リブの正統な後継者なのかもしれません。
PS.「オバハンSOUL」という題名は、坂東眞砂子さんのベストセラー「女性の品格」を意識しているでしょう。


「女性の品格?」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20070901/p1