2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

バランスのよい生き方

アルコール依存症であることを認めた断酒会員にとって、次の大きな障壁は「第二の否認」です。「第二の否認」に向き合うことは、素面の自分に向き合うこと。素のままの自分に向き合うことは身を切るように苦しい作業です。しかし、この作業によって「断酒」…

Basic Fault

ただ、氏には、何の瑕疵も全く無いかと言えば、この私にも、一つだけ指摘できることがある。それは、バリントの主著《Basic Fault》を氏は《基底欠損》と訳された。私からすれば、此の「欠損」という訳はいただけない。なぜなら、欠損とは、「根本的に欠けて…

よく来たね。久しぶりだね

たとえばテクニックの部分で、患者さんと会うときは言葉にしなくていいから、「よく来たね。久しぶりだね」と呟きながら会いなさい、と。すると顔が懐かしそうな表情になっていい感じになるのだと。この内言をうまく使うという手法は中井さんがよく書かれる…

断酒と中動態

私が禁酒してアルコールをやめたのか(能動態)、アルコールが心筋症という形で私を見放したのか(受動態)、私とアルコールとが切れたのか(中動態)―考えれば考えるほど、断酒という「依存症からの回復」は、能動態でも受動態でもなく、「中動態」の世界で…

アルコール依存症とジェンダー

西原 圧倒的に男性のほうが多いのは、やっぱり、男性のほうが生きづらい世の中だからということかな。おまけに男の場合は、周囲の女性、奥さんや母親がイネーブラーになって支えてしまうし。 ――女性が依存症になったときには、男性が支えたりしないですか? …

加藤秀一さんの紹介

明治学院大学の社会学者・加藤秀一さんが、大学の講義テキストとして執筆されたとおぼしき『はじめてのジェンダー論』 (有斐閣ストゥディア、2017年)の「読書案内」で、拙著『男らしさという病?』を紹介して下さいました。拙著も、ようやく学説史に位置づけ…

断酒会の宗教性

吾妻ひでおも言っていたけれど、断酒会で出会う断酒歴の長い老人には、いい顔をした人が多いです。断酒会は、キリスト教由来のAAに比して宗教色が薄い自助グループだという意見もあるけれども、やっぱり基本的には宗教です。最大の美徳は、《正直》であるこ…