教育

よく来たね。久しぶりだね

たとえばテクニックの部分で、患者さんと会うときは言葉にしなくていいから、「よく来たね。久しぶりだね」と呟きながら会いなさい、と。すると顔が懐かしそうな表情になっていい感じになるのだと。この内言をうまく使うという手法は中井さんがよく書かれる…

授業の楽しみ

授業の開放講座の社会人学生に「先生、ありがとうございました」と言われたり、学生にレポートで「先生のアドヴァイスのおかげでたすかりました」と言われたりすると、お世辞半分とわかっていても、やはり嬉しいものです。大学教員生活のストレスが吹っ飛び…

研究者の養成

あくまで一般論ですが、研究者の養成はデリケートな作業で、教師が優秀すぎると学生はかえって伸びません。学生が教師との学問的力量の落差に絶望したり、(結局同じことですが)教師に対して過度の依存心を持つようになってしまうのです。私が島薗先生との…

永続敗戦論

安部 植民地支配で受けた傷よりも、敗戦の傷のほうがずっと軽いという生き証人のようなものだね、日本は。 ― つまり収奪されている側の、先ほども出ていましたけれども、民というか、人々の意識化できる能力の問題といいますか、それは教育の問題にも関わっ…

日本の学校と軍隊

日教組も黙認...日本の学校は今も「徴兵訓練」をやっている! http://news.livedoor.com/article/detail/9107947/ より転載 日下氏の前著によれば、第二次世界大戦以降、欧米諸国では「義務教育による国民皆兵制度」を否定、どんな教育をするのかは国家では…

教養とは何か

「教養とは、本物と胡散臭い物とを直感的に見分ける能力である」と哲学者の鷲田清一さんが述べていたと思います。私もそう思います。この複雑化した現代社会において、専門外の分野について、細かく真贋を分析するのは不可能です。大事なのは、直観的判断力…

大学教師の快楽

大学の授業をジャズに喩えると、テキストは楽譜で、トークはアドリブ演奏です。教え甲斐は、もちろんアドリブ部分の方にあります。トークは、聴衆である学生の反応にアフォードされながら行います。大学教師の快楽は、噺家の快楽に似てます。ライヴのトーク…

論文の「宛名」

学生の卒論を添削していて思ったことですが、論文の指導教員になることは、要するに論文という「手紙」の「宛名」を引き受けることではないでしょうか。少なくとも、私が書いた論文は、不肖の弟子として、すべて島薗先生を「宛名」として執筆されたものです。

「聴き育て」ということ

大学のゼミ1コマ90分のうち、教員の私が発言しているのは10分程度です。残りの時間は、学生が発表し学生同士で質疑応答しています。それにもかかわらず、学生は確かに「育つ」。おそらく、教員の私が「聴いている」ということ自体に、教育的な効果があ…

片山さつき氏に思う

現行の大学入試は「知識偏重のギャンブル一発」だから、落ちても救いがあるのだと思います。安倍政権が構想しているような「生きる力」を見る大学入試(がもし仮に実現できたとして)で落とされたら、救いがありません。安倍政権はそこまで考えているのでし…

自分の意志で生まれた?

今日の『朝日新聞』朝刊25面の教育欄の「道徳教育」特集「花まる先生−公開授業ー」という記事は、「自分の意志で生まれた」と題されています。 あなた方は自分の意志で生まれてきた。どんなに生まれて欲しくても生まれてこない子もいる。命を無駄に使ってほ…

松井秀喜選手の受けた「躾」

Wikipedia「松井秀喜」より http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%BA%95%E7%A7%80%E5%96%9C より引用 「子供も大人と同じように一人前に扱う」という両親の教育方針から、「ひでさん」と呼ばれて育てられた。小学3年生の時に父から贈られた「努力でき…

「聞き手」としての教育者

基本的には、精神健康をめざす人間固有の力への信頼が一つ。とにかく人間は数百万年生き延びてきたのである。もう少し特殊的には、カウンセリング、相談というものは、狭い意味では一つの技術であろうが、実際には食事や睡眠と重要性においてさほど劣らない…

才能とは?

「育てたい」とか思っちゃダメ。育たないもの。だいたい育つ人は勝手に育つ。よく「私が子供の才能をつぶしちゃったかもしれない」とか「子供の可能性を伸ばさなきゃ」とか言っている親がいるけど、どんなにつぶされても出てくるのが才能ってもんでね。そん…

大学は多すぎる?

http://digital.asahi.com/articles/TKY201212010416.html?ref=reca より転載 「窓」―大学は多すぎる? 【各務滋】少子化の中でなぜ大学が増え続けるのか。多すぎないか……。田中真紀子文部科学相が3大学の新設をいったん不認可とした騒動のとき、問題提起に…

学者幻想

世間には「学者幻想」が根強く残っていますが、大学教師もそもそも見た目ほど楽な仕事ではない上に、どんどん世知辛くなっています。私の場合、一日3コマも教えると、翌日の半分は活字が読めなくなり自然に目を閉じてしまいます。おそらく、脳の言語中枢と…

大卒者の6%がニート

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2133818&media_id=4&from=home&position=1より転載 大卒3万3000人がニート=就職率改善も4%非正規―文科省 今春、4年制大学を卒業した学生約56万人のうち、6%に当たる約3万3000人が進学も就職の準備も…

SEAMOのこと

私のゼミのOBで一番有名になったのはミュージシャンのSEAMOですが(ちなみに卒論は「HIP HOPの音楽と文化」でした)、先日、FMラジオで「久しぶりに会いたい人」を聞かれて、「ゼミの熊田先生」と答えていたそうです。最近は、「優れた学者」になれなくても…

ハシズムとマチズモ

http://thomas-aquinas.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/201111-db98.html より転載 異論反論 大阪府知事・市長のダブル選が話題です ハシズムで誰が得する? 寄稿 雨宮処凛 大阪のダブル選挙が世間を騒がしている。注目の的はやはり橋下徹前知事だ。 大阪都…