安部 植民地支配で受けた傷よりも、敗戦の傷のほうがずっと軽いという生き証人のようなものだね、日本は。
― つまり収奪されている側の、先ほども出ていましたけれども、民というか、人々の意識化できる能力の問題といいますか、それは教育の問題にも関わってきますね。
安部 そうなんだ。自分で外すしか外しようのない足枷だからね。でも頑丈すぎて取れなかったら、それをかけた奴の責任が、それが取れるまで問われ続けなければいけない(安部公房『死に急ぐ鯨たち』新潮文庫、1991年、p90)。
*白井聡氏の『永続敗戦論』が想起されます。