在特会とヘイト・スピーチ

(前略)核戦争は肉体のご破算だけど、その前にもっと誘惑的な精神のご破算願望があるだろう。いま自分を弱者におとしめている条件を叩きつぶすために、徒党を組んで、その徒党に忠誠をつくす快感。強烈な排外主義と裏腹になっているけれど、これも一種の疑似平等感だよね。ナチスだって国家という帽子こそかぶっていたけど、いちおう社会主義を名乗っていたんだ。なんとも御愛敬じゃないか。やはり民衆の夢としての平等感を餌にせざるをえなかったんだな(安部公房『死に急ぐ鯨たち』新潮文庫、1991年、p182)。


現代日本の、新自由主義の経済体制下における、在特会やヘイト・スピーチの氾濫が想起されます。