大学は多すぎる?

http://digital.asahi.com/articles/TKY201212010416.html?ref=reca より転載
「窓」―大学は多すぎる?


【各務滋】少子化の中でなぜ大学が増え続けるのか。多すぎないか……。田中真紀子文部科学相が3大学の新設をいったん不認可とした騒動のとき、問題提起に共感する声は多かった。
 データから考えてみる。
 少子化が進んでも大学の進学率は伸び続けたため、学生数は近年まで増え続けた。文科省によると、国公私立いずれも、全体では入学定員に対する入学者の割合(定員充足率)は100%を超えている。需要と供給は一応つり合っている形になる。
 ところが、私大の46%は定員割れしている。どういうことだろう。
 日本私立学校振興・共済事業団の調査を見ると、定員の大きな大学は入学者が定員を上回り、小さな大学は定員割れ。地域別では大都市圏が定員超え、地方は定員割れ。そういう傾向が見て取れる。
 「問題は大学の数よりも規模にある」。中教審の専門委員を務める関西国際大の濱名篤学長は指摘する。
 小さすぎて経営が安定せず、特色を出せなくて学生が集まらない。そんな地方大学が増えた。経営の安定を図るため、地域ニーズにあった特色作りや統合を応援する政策がいずれ必要になる、と濱名さんはみる。
 「地方大学全体の定員規模は守らないと、都会に下宿する余裕のない家庭の子は大学に行けなくなる」。この指摘は重い。