全共闘・リブ・少年愛
私は、地元徳島での大学時代のことを思い出していた。そういえば、彼らもそんな感じだったな。口で言っていることに、実際の暮らしや行動が伴っていない。
「私はね、今の学生運動なんか信用していない。高校生のときから学生も大人も信用していない。あの人たち、難しいこと言ってるけど、自分の言葉の意味がまずわかってないもの。そんなことで何かを変えるなんてできやしないし、逆にそんなことで変わってしまう国じゃないよ、日本は」
そして、続けた。
「それよりもさ、みんなそれぞれが、まず目の前のマンガ。少女マンガでしょう。少女マンガを変えようよ。そして少女漫画で革命を起こそうよ」
まったく同感だった。それこそ地に足が着いている。誰が、何のためにやるのかはっきりしている。では具体的に何をどう変えていけばいいのか。今まで私はマンガを考え、描くとき、何か具体的な目的や目標、意義というものを持っていただろうか?(竹宮惠子『少年の名はジルベール』小学館、2016年、pp.60-61)。