急激な変化と大衆運動
エリック・ホッファーによれば、「急激な変化は過激主義をもたらす」。かつての日本の全共闘運動の過激さの背後には、もちろんそれだけが原因だったとは思いませんが、「急激に豊かになった者の後ろめたさ」もあったのでしょう。1950年代60年代の創価学会の過激さの背後には、「急激に貧困になった向都離村者」の運動であったことが関係していたのでしょう。ホッファーによれば、「大量移住は過激さをもたらす」。格差の広がった現代日本の貧しい若者たちがおとなしいのは「定住したままゆっくりと貧困になった」ことが関係しているでしょう。
上野千鶴子氏を始め、全共闘世代の論客の一部が唱える「みんな平等に貧しくなろう」という「清貧の思想」の背後には、あの世代の若い頃の「急激に豊かになった者の後ろめたさ」を「無意識のうちに罪滅ぼししている」側面があるのではないでしょうか。いずれにせよ、現代日本社会の貧しい若者には、迷惑な話です。