オウム

オウム真理教と山折哲雄氏

オウム真理教事件の裁判で私が注目していることのひとつは、麻原こと松本智津夫死刑囚に、裁判所がどの宗教教団の教誨師をつけるかということです。浄土真宗ならば、麻原も前非を心から懺悔して念仏三昧の獄中生活を送れば、死刑後極楽往生できるはずです。…

ホッファーとオウム真理教事件

無為を余儀なくされた有能な人間の集団ほど爆発しやすいものはない。そのような集団は過激主義や不寛容の温床となりやすく、いかに不合理で邪悪であろうとも、壮大な行動を約束してくれるならどんなイデオロギー的改宗でも受け容れてしまいやすいのだ(エリ…

中川死刑囚の巫病

「最初は出家は考えていなかったです。(松本死刑囚は)いかがわしいと思っていた」。中川死刑囚は記憶をたどりつつ、淡々と、だが饒舌に証言した。入信のきっかけは、現世に幻滅したからでも、教祖に魅せられたからでもなかった。 「教団をのぞいたことがあ…

オウム真理教とジェンダー

このころ(熊田註;幼稚園のころ)には私の心に、「女の子に生まれて失敗した」という強い思いが芽生えていて、「男の子は自由に旅ができるのに、女の子は不自由でよくない」と思って悔しがっていました。この思いはどこかでずっと続き、小学校の学芸会では…

オウム真理教とグノーシス主義

そのうち、同じような人が周りのどこにもいないらしいことに悲観し、わたしはこの世の幸福や楽しみといったすべてのことから見放されてしまった、みんなと違う存在だとしか思えなくなり、「わたしは、この世界に何かの間違いで生まれてきた宇宙人なのかもし…

オウム真理教と<欲>

私が昔診てもらった全盲のマッサージ師さんのお話。「麻原のおかげで、盲学校のイメージが悪くなった。親が欲しいか視力が欲しいか、本音を言えば、俺は親が死んでもいいから視力が欲しかった。麻原は、親に捨てられたって視力が残っていたんだから、いいじ…

神秘体験の罠

高橋克也容疑者は、松本智津夫死刑囚の写真と著書を所持していたということです。おそらく、まだ「マインドコントロール」が完全には解けていません。彼のような古参の信者は、ヨーガの修行(松本死刑囚は、ヨーガに関しては天才的な才能をもっていました)…

中川被告に対する死刑判決は不当

今日最高裁は、オウム真理教の元幹部である中川智正被告に対する死刑判決を確定させました。しかし、宗教学者のハシクレとして、私はこの判決は不当判決だと考えます。精神科医の佐々木雄司氏(元東大教授)が精神鑑定しているように、彼は入信時・犯行時に…

鏡としてのオウム真理教

「新宗教新聞」1997年4月号のエッセーより再録 松本被告の初公判こそ、犯罪に関係しなかったオウムの一般信者を脱会させる絶好の機会であった。松本被告が頑として自身の松本アイデンティティを否定して、聖無頓着の教えをとうとうと述べた時に、裁判官は一…