中川被告に対する死刑判決は不当

 今日最高裁は、オウム真理教の元幹部である中川智正被告に対する死刑判決を確定させました。しかし、宗教学者のハシクレとして、私はこの判決は不当判決だと考えます。精神科医の佐々木雄司氏(元東大教授)が精神鑑定しているように、彼は入信時・犯行時に、文化人類学でいう「巫病」(shamanistic illness)に罹患していたのであり、完全な刑事責任能力は問うことができず、無期懲役が妥当な刑罰だと思います。
 私は大学院生時代に佐々木雄司氏の授業を聴講し、その後宗教調査の経験を重ねてきましたが、宗教周辺では「巫病」は珍しい病気ではなく、患者に「完全な刑事責任能力」を問うていたら、日本の宗教司法は無茶苦茶になると思います。もちろん事件の被害者および関係者のみなさまには心よりご同情申し上げますが、「中川被告に対する死刑判決は不当判決である」という私の意見にどなたか賛成してくださいませんか?