中川死刑囚の巫病

「最初は出家は考えていなかったです。(松本死刑囚は)いかがわしいと思っていた」。中川死刑囚は記憶をたどりつつ、淡々と、だが饒舌に証言した。入信のきっかけは、現世に幻滅したからでも、教祖に魅せられたからでもなかった。
「教団をのぞいたことがあるんです。すると光が上っていく、この世のものとは思えない不思議な体験をした。犬の声が人間の声に聞こえ、目の前に光の粒が浮くようなこともあった」
 自身の頭を疑った中川死刑囚は精神科へ通う一方、教団へ相談の電話を入れた。
 これが運命の分かれ目だった。応対したのは平田被告。「丁寧に、まじめに話をしてくれる印象でした。むしろ平田君も困っていて『支部に来てくれ』と。その1年半後の89年、出家した(「封印された“狂気”の裏面史」『サンデー毎日』2014年2月9日号、pp.146-147)。


*元東大教授の精神科医にしてシャーマニズム研究者である佐々木雄司氏が精神鑑定したように、中川死刑囚は入信時に「巫病」だったのであり、情状酌量が必要で、死刑は無期懲役減刑されるべきだと思います。
PS.友人の精神科医に、「巫病」は精神医学の診断概念ではない、と注意していただきました。統合失調感情障害(非定型精神病)が疑われるのかもしれません。