オウム真理教とジェンダー

 このころ(熊田註;幼稚園のころ)には私の心に、「女の子に生まれて失敗した」という強い思いが芽生えていて、「男の子は自由に旅ができるのに、女の子は不自由でよくない」と思って悔しがっていました。この思いはどこかでずっと続き、小学校の学芸会ではハムレットの創作劇のシナリオを書いて、男役のハムレットをやったりしていました。男の子として生まれた弟のほうが、両親にとって価値があると思い込んでいたことも影響していたのかもしれません。
 この強い思いが、のちにオウムに出家した後、「女性はカルマ(業)が悪いから、グルにすがって救済してもらうしかない」などという麻原の単純な男尊女卑的支配体制に従ってしまう土壌を作っていたのかもしれません(宗形真紀子『二十歳からの20年間ー“オウムの青春”の魔境を超えてー』三五館、2010年;pp.17-18)。


オウム真理教の女性信者の脱会カウンセリングには、フェミニズムでいうエンパワーメントも必要なのではないでしょうか?