牧口常三郎と「貧しい子への共感能力」

まずしい階層からの高等教育への道は確実にせまくなっている。狭義の教育費の問題だけでなく、周辺費用のみならず、教育そのものが比較的豊かな階層に適合した雰囲気のものとなっている。高等教育においてはもちろん、初等教育においても、それが感じられる。その結果であろう、かつて(戦前ー熊田注)貧しい階層から師範学校へ進んだ教師が持っていた、貧しい子への共感能力を、現在の教師の多くは失っているように見える(中井久夫「世に棲む老い人」『「つながり」の精神病理』ちくま学芸文庫、2011年(初出1987年)、p216)。


貧困層から北海道師範学校(学費免除だった)へ進んだ教育学者にして、創価教育学会(後の創価学会)の創始者牧口常三郎が持っていた「貧しい子への共感能力」を、この先駆的文章が書かれてから35年経って、現在の教師はますます失いつつあるのではないでしょうか。今の創価学会も、この点で大丈夫なのでしょうか。