精神科医が見た患者とは

 私は精神科医として四十何年かを過ごしてきましたが、患者とは、あるいは患者も含めて不幸な人とは、考え、考え、考え、考えている者だということを言ってもよいだろうと思います。幸福な人とは、明日も今日と同じであってもよいと思っている人のことだという定義を聞いたことがありますが、健康も幸福の一部です。健康な人とは明日も今日と同じであってもよいと思っている人です。考えに迫られてはいないでしょう(中井久夫認知症の人からみた世界を覗いてみる」『中井久夫集10』みすず書房2019年(初出2008年)、pp.184-185)。

*考えさせる見解です。