カネッティのパラノイア論

すなわち、パラノイア妄想においては宗教と政治が分かちがたく錯綜しているという事実である。世界の救済者と世界の支配者とは全く同一の人格にほかならない。それの核心においては、一切が権力渇望である。パラノイアは文字どおりの意味で、権力の病いであり、この病をあらゆる角度から研究することによって、他のどんな方法によって得られるよりも完全明白な、権力の本質に迫る手がかりがあらわになる(エリアス・カネッティ『群衆と権力(下)』法政大学出版局、1971年(原著1960年)、p271)。

*「神聖法皇」になることを夢見た麻原彰晃の「権力の病い」が想起されます。