依存症/キリスト教/グノーシス主義

 20世紀の作家で、キリスト教グノーシス主義の間を揺れ動いたという点で日本の太宰治(1909-1948)に似ているのは、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディック(1928-1982)ではないでしょうか?ふたりとも、薬物中毒に陥り、いったんはそこからキリスト教信仰によって立ち直るものの、最後には、やはりキリスト教を信じることができずに、グノーシス主義(太宰の場合は、「実存主義」と自己認識していました)に傾斜していったという点が共通しています。