孤独をめぐる逆説

(前略)ロビンソンが、島の一番高い地点、正しくはいちばんよく目につく地点にしがみついていたとすれば、その原因は反抗心、謙虚さ、恐怖心、無知、憧憬、なんでもいいが、もしそうしていたら彼はまもなく破滅したことだろう。しかし彼は、航行する船舶や、その貧弱な望遠鏡を当てにせず、島中を探索し、この島に喜びを見いだしはじめたために、生きのびて―むしろ当然すぎるほど当然の帰結として―やはり最後には発見されたのである(フランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー、1996年、p219)。


*孤独の逆説。孤独地獄を逃れるコツは、孤独を楽しむことかもしれません。「独りでいられる能力」(ウィニコット)の大切さ。