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娘の母からの自立例

私の手首には以前傷がありました。先生がおっしゃったように、それは死にたいという欲求とは全く別の感情からのものでした。一度目は中学の頃で、学校中で流行していたその行為に興味がわいてのことでした。それから私は「怒り」に反応して、手首を切りたい…

「脱親」ということ

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信田 でも、思春期前に気づけば、時間をかけて「脱親」を達成することができると思います。「やっぱり、うちの親はそうだったのか!」とはっきり意識する年齢が遅ければ遅いほど、「脱親」ってすごく大変ですよね。 東 脱親! 信田 「反親」として親を責める…

人の為と書いて偽りと読む

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「人の為と書いて偽りと読む」ー新宗教の世界にはいろいろな傑作コピーがありますが、私が聞いた中では、これは一、二を争う傑作です。共依存ー愛情という名の支配ーをこれほど簡潔に表現したコピーは他に聞いたことがありません。

AC・異邦人・ブーバーー『見捨てられ』感覚をめぐって

『アディクションと家族』vol.18-4、日本嗜癖行動学会、pp.570-576、2001年 投稿原稿(編集委員の野口裕二先生からの依頼原稿) <表題> 「AC・異邦人・ブーバーー『見捨てられ』感覚をめぐって」 <著者名> 熊田一雄 AC, The Stranger, Buber−about the…

“毒母”とのバトル」…女たちの苦闘

“毒母”とのバトル「命がけで自分の理想像、押し付けられ」…女たちの苦闘 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150819-00000562-san-hlth *日本人の「母」の「モラル・マズヒズム」(フロイト)は相変わらずのようです。背後には「無関心な父」がいる訳です…

親からの自立

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「親からの最高の自立は、親孝行である。最低の自立は、家出である」(神田橋條治)

アダルトチルドレンと中年期

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今週もゼミの女子学生たちにランチに誘われています。もちろん、「もてている」のではなく、自分たちの恋愛相談にのってもらおうという魂胆でしょう。彼女たちにとって、自分たちの父親と同年配で、「一人で気ままに生きている」(ように見えるらしい)私は…

家族のサポート・システムとしての宗教

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(前略)こういう治療の「支援組織」(サポート・システム)を構想する時、やはり日本の家庭の、各自がせい一杯努力してよくやく維持しているひよわさ、ちいささ、そして孤立しがちな点を思う。欧米の場合には教会が依然として軽視できないサポート・システ…

光市母子殺害被告と「危険な母子関係」

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鷲田清一さんは、『〈じぶん〉ーこの不思議な存在』(講談社現代新書、1996年)で、R.D.レインの”他者の他者としての自分”というテーマに触れています。 次の4つの母子関係について、「どれがいちばん危険な関係か?」 1.彼は母親に駆け寄り、彼女にしっ…

親を分裂させる

ー「シャブを打ったらやさしいけど、酒をのんだらあばれて、金のない時はクズのチンピラにまでペコペコしてからに。どれがほんまのうちのおとうちゃんなんやろなあ。」(西原理恵子『(全)ぼくんち』小学館、2003年、第29話より) 精神科医の中井久夫さんは…

戦争とアダルトチルドレン

*以下の文章は、団塊の世代(グローバルな戦後第一世代)に属するある男性の手記です。この人の職業は、社会福祉士です。 私の父は沖縄戦の生き残りでした。北海道から沖縄に送られた部隊は、11000名だったそうですが、生きて帰ってきたのは1000名…

ACは甘え?人間はぜいたく?

昨夜、懲りずにテレビで実写版『妖怪人間ベム』を視ました。原作アニメのファンだったからです。今回は、「酒乱で母親に暴力をふるっていた父親を刺殺した息子」が、「事件を訴えても問題に介入してくれなかった警察」を「逆恨み」して「警官殺し」を繰り返…

太宰治の精神病理

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作家・太宰治(1909-1948)を現代の正統派の精神科医や臨床心理士に診察させたら、診断名はまちがいなく「境界性パーソナリティ障害」でしょう。アディクション派に診察させたら、「あなた、アダルトチルドレンじゃないの?」と言われるでしょう。拙稿「小説…

<病抜け>ということ

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「不安定の安定」とも言われる境界性パーソナリテイ障害について、精神科医の中井久夫さんが、「医師が治そうとすると治らない。医師は、患者がいつか<病抜け>していく日をただじっと待つべきである。」と述べていました。我が身を省みるにつけても、その…

太宰治の小説『待つ』をめぐって

ー「待つ」(昭和十七・六)には、そうした微妙な自己放棄のありようを見いだすことができる。従来は、<待つ>対象を詮索することに議論の中心があったが、いまはその姿勢そのものへと視線を移してみたいのである(安藤宏(編著)「展望 太宰治」ぎょうせい…

「待つ」という宗教心理ー疑いと信仰の間

年代順に配列しました。超越者を「待つ」状態とは、「半信半疑だが、できれば信じたい」、W・ジェイムズの古典的表現を借りれば「潜在意識的自己」(W・ジェイムズ『宗教的経験の諸相(下)』岩波文庫、1970年(原文1901ー1902年)、p.376)の水準では信じて…

日本的ACを再考するー基本的信頼感の欠如とS親和性の高さ

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私の場合、一時期はアダルトチルドレンという概念で自分の抱える葛藤を解決しようとしましたが、今思えば、私の場合、身体的虐待を受けたこともなく、中井久夫さんが「分裂病と人類」(UP選書、1982年)で触れていることですが、世界に対する「基本的信頼の…

「無条件の愛」から「無条件の生の肯定」へ

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親を責め、深刻な対立を繰り返しながらも「働けない」彼らは親元で暮らし、そのこと自体をなじられた。「働かない」ことを責める親の怒号は「小さなころから親の言うことを聞くいい子じゃなければ愛してくれなかった」記憶を呼び覚ました。しかし、彼らの多…

スカイ・クロラーミニマルな親密性

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森博嗣(1957-)の「スカイ・クロラ」(中公文庫、2004年)を読みました。押井守監督のアニメは、未見です。テーマは、ずばり「AC同士のミニマルな親密性」。「ミニマルな親密性」の定義については、拙著「男らしさという病?」(風媒社、2005年)をご参照く…

AC・よそもの・私とあなた

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「アディクションと家族」vol.18-4、2001年より再録<表題> 「AC・異邦人・ブーバーー『見捨てられ』感覚をめぐって」 AC,The Outsider, Buber−about the Sense of“Being Abandoned” 抄録:この論文の目的は、通俗心理学で言うアダルトチルドレンの概念を…

アダルトチルドレンとグノーシス主義ー雨宮処凛の場合

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─「みなさんは『私を認めて』と叫んでいますが、私はみなさんが神の子であることを認めています。それ以上何が必要ですか?」(ある宗教団体における講話) グノーシス主義(「自己=神/世界=悪」という宗教的世界観)は、永井豪(1945-)のマンガ「デビル…