社会

記憶の外部化と学問

灘中の入試は、国語(200点)算数(200点)理科(100点)で、社会が入試科目にありません。これは、社会のような「暗記もの」の努力量ではなく、純粋に思考力のみで学生を選抜したいからです。一理あると思います。特に、IT革命が進み、単純記憶はネット情報…

オリンピックと国民の兵士化

安部公房が、オリンピックだって「国民の兵士化」に通じる、と批判していましたが(『死に急ぐ鯨たち』)、一理あると思います。オリンピックの視聴者が、自国以外の選手にもっと関心をもち応援するようになれば、そういう批判は回避できるようになるでしょ…

「世界に一つだけの花」と競争社会

現代日本の「孤独な競争社会」―明治30年代からの修養的立身出世主義(「慰めの哲学」)と、1980年代からの自己実現的立身出世主義(個性に即した自己実現)との合流―を考えさせるために、授業でSMAPの楽曲「世界にひとつだけの花」(2003年)を流しました。…

SEALDs女子を襲うネットの闇

http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20151109-00051257/ *比較的性差別は少ない東南アジアのミャンマーと比べて、どちらが「進んでいる」のやら。

ミュンマーの「強い女性」

ミャンマーでは、開発独裁を担った軍事政権が、日本の天皇と同様の「血統カリスマ」である「強い女性」が率いる「民主化勢力」に取って代わられるようです。よく考えてみれば、現代日本も、まだ似たような状況に置かれているのかもしれません。現代の日本に…

日本人と植民地意識

しかも、日本人の現実は、いぜんとしてやはりボルタク(熊田註;フランス映画『目には目を』に登場する、アラブ人である植民地原住民)的なのである。ヴァルテル(熊田註;フランス人である植民地支配者)のような、善玉でも悪玉でもない、しかも確信に満ち…

日本のアメリカ化と町人文化

それよりも、問題なのは、日本の中に充満したアメリカの影である。これは、アメリカの帝国主義的な政策の結果であり、また日本の買弁的な政治家の仕業なのだとある種の人は言っていた。だが、はたしてそれだけだろうか?ただ単に外部からの働きだけではなく…

妖怪ウォッチと子供の「いじめ」

http://togetter.com/li/713976 『妖怪ウォッチ』が子供社会を救う? 〜 問題の可視化、許しと共存 〜 *ありそうな話です。

白人社会の任侠

浦沢直樹のマンガ『Master キートン Re マスター』を読了。やっぱりマスター・キートンは面白い。一見平凡な(バツ1)「日英ハーフ」の探偵・浦賀キートンが、ヨーロッパの「白人社会」を舞台にして、「弱きを扶け、強気を挫く」大活躍をするという作品設定…

フーコー・吉本・アンパンマン

http://web.sfc.keio.ac.jp/~oguma/report/book/Democracy_vol1 より転載 ――小熊英二さん『〈民主〉と〈愛国〉』を語る(上) ついでに言えば、フーコー(熊田註;1926-1984)は吉本隆明(熊田註;1924-2012)とほぼ同世代です。吉本さんは明らかに、「聖戦…

モデルとしてのラテンアメリカ

見田(前略)いささか暴論めきますが、日本は前近代社会においては長く中国をモデルとし、近代社会ではイギリスついでアメリカとアングロサクソンをモデルにしてきた。近代後においてはラテンアメリカの文化がモデルになりうるのではないでしょうか。ラテン…

日本人の誇り?

今日、安倍総理の施政方針演説が行われました。安倍総理は、「日本人の誇り」を守り抜くことを強調していました。私は、そのことに危うさを感じました。 日本人がダメな時とは成功の時であると思う。危機感を置き去りにし、あるいは否認して、自己の地位と限…

「おもてなし」パフォーーマンスをめぐって

http://www.excite.co.jp/News/world_ent/20130911/Aol_celebrity_takigawa.html より転載 滝川クリステル、おもてなし合掌に「違和感」の声も 「合掌はしない」「お辞儀では?」 国際オリンピック委員会(IOC)総会の最終プレゼンテーションで、流暢なフラ…

滝川クリステルと性の政治学

「おもてなし」。滝川クリステルによる五輪招致プレゼンテーションには、オリエンタリズムとセクシズムが露骨に見られました。 仏語にて/日本の美女が/お・も・て・な・し フジヤマで/ゲイシャみたいに/暮らしてる ポストコロニアリズムの古典であるフランツ…

君側の奸

結局、(熊田註;朱子学から)忠の原理を導入した徳川幕府は、自縄自縛になるわけだ。武士階級には、無理に徳川に押さえ込まれているという意識がずっとあるし、より高いものへの忠を以て現下の忠に替えるのは、快い。「改宗者の快」だ。徳川を「君側の奸」…

SMAPの歌が子どもをだめにする?

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-27/2013072701_04_1.html より転載 ♪ナンバーワンにならなくてもいい♪ SMAPのヒット曲 この歌が子どもをダメにする!? 安倍政権「教育再生」メンバーの危険な持論 強制頼みの教育観 ゆがんだ歴史認識 アイド…

参議院選挙

参議院選挙の投票に行きました。

ネットが近代資本主義に終止符を打つ

岡田さんだけではなく、中沢新一さんの農業コミュニティのアイディアもそうだし、平川克美くんの「小商い」のアイディアもそうだし。贈与をベースにした共同体のアイディアを語る人がさまざまな領域で同時多発的に出てきているということは、たぶん地殻変動…

安倍総理の「美しい国」

首相官邸「新着情報」メール(2013/03/22)より転載 −−−−−−−−−− 安倍総理のメッセージ 3月21日(木)投稿 −−−−−−−−−− 昨日、宮中三殿で行われた春季皇霊祭と春季神殿祭に参列しました。 これは、歴代の天皇や皇族の霊を慰めるとともに、 八百万神をはじめ神々に…

日本のフェミニズムと新自由主義

私は右派の考えを知るために(私自身は中道左派です)、毎週日曜日の午後にはテレビで「たかじんのそこまで言って委員会」を視ています。今日は生命倫理特集で、最後に「なぜ人を殺してはならないのか」という問いが出されました。10人のパネリストのうち、…

「成功への道」は「運と愛嬌」?

http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/special/2012080800001.html?iref=webronza より転載 BS朝日 日本再生プロジェクト「白熱セミナー 成功への道」 和久井康明・クラレ会長 基調講演 「日本再生プロジェクト 白熱セミナー 成功への道」 BS朝…

あしたのジョー

レンタルDVDで、『あしたのジョー』を視ました。この作品は「ジョーの孤独な『階級闘争』」を描いているという意見がありますが、実は「階級の障壁を越えるジョーと力石の『男同士の絆』」を称揚しているのではないか、と思いました。

大震災と祭り

http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260142.html?ref=rss より転載 伝統芸能や信仰、被災地支える 「絆を確かめたい」 東北地方の伝統や信仰が被災者たちの心の支えになっている。 「ジョイワナ、ジョイワナ」。黒光りする虎の面が激しく舞…

<祈りの言語>としての謙虚さ

謙虚さは誰にでも、孤独な絶望者にさえも、隣人に対するきわめて強力な関係を作り出す、しかもたちどころに。ただし完全な、持続的な謙虚さの場合に限るけれども。そうしたことが可能なのは、謙虚さが真の<祈りの言語>であり、同時に崇拝であり、もっとも…

近代人の自由と「規律=訓練」

家畜は、主人の鞭をのがれ、自分自身を鞭打って主人の立場に立とうとするが、それがただの幻想にすぎないことを知らない。主人の鞭紐にあたらしくつけた結び目から生じた、幻想にすぎないことを(同上、p.160)。 *フランツ・カフカのこのアフォリズムは、…

資本主義の「鉄の檻」は脱出可能

牢獄とでも、彼は折り合いをつけたことだろう。囚人として終わるということ―これもひとつの人生の目標かもしれない。けれどもそれは格子の檻だった。無頓着に、横柄に、我がもの顔に、格子を通して世間の喧噪が出はいりした。囚人はもともと自由だった。なに…

つかこうへいさんの死

昨日、劇作家のつかこうへいさんが62歳で亡くなりました。死因は、肺がんです。回顧ビデオを見る限り、ヘビースモーカーだったようです。「アディクションとは、緩慢な自殺である」という言葉を思い出しました。

女子フェギュアが終わって

女子フィギュアのキム・ヨナと浅田真央の対決は、まさに「代理戦争」でした。戦い終わって、日韓の友好関係はうんと深まったと思います。その意味では、ふたりの選手は勲章ものの活躍でした。

味覚とナショナリズム

mixiニュースより転載 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1115998&media_id=60&m=1&ref=news%3Aright%3Apickup 日本料理、温泉、治安の良さ……。20代女子に聞いた「日本人で良かったと思う瞬間」ランキング 毎日何気なく暮らしていると気が付きにくいです…

「母方のおじ」再考

ついでに申しますけれども、今おじさんと申しましたけれども、家族に協力を頼むときに一番話を聞いてくれる人、これはまず母方のおじを探せというのが私なり、私の友人たちの合い言葉なんです。これはどういうことかと申しますと、実際には父方のおじさんと…