現代日本と不安障害

 今朝の朝日新聞の医療コーナーで、「不安障害 働き盛りに増加 薬物・認知行動療法で多くは改善」という特集が組まれていました。不安障害の中では、パニック障害社会不安障害(「対人恐怖」というのは、日本独特の表現です)、強迫性障害の三つが代表的だとされ、「日本人の10人に1人くらいの割合で症状に悩んでいる人がいる、というデータがある。働き盛りの20歳から40歳に増えている印象だ。」という専門医の見解が紹介されています。SSRI(選択性セロトニン再取り込み阻害薬)を中心とした薬物療法認知行動療法を組み合わせた治療で、約1年後には多くの人が改善するそうです。「なのに、まだ受診をためらう人が少なくない」と専門医は指摘していました。
 医師は、眼前の患者に対症療法を施すことが仕事だから、どうしても、手っ取り早く向精神薬SSRIを処方してしまうのでしょう。しかし、「どうしてこんなに不安障害に苦しむ人が増えるのか」と社会学的に考察し、背後にある「効率と競争を過度に追求する社会風潮」を改善しなければ、今後とも、患者が減ることはないでしょう。「SSRIを使用禁止薬物に!」と、私が主張するゆえんです。