2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧
(前略)しかし、同年輩者を通じての親密さと愛の実現を抜きにしたセックスの単純な注入は副作用以外のなにものをも残さない。見合、婚約、結婚という一連の出来事が、こういう場合、いかに分裂病(ママ)の発病ないし再発をさそうか。これも精神科医のたい…
しかし三十歳まで青年期を延長するとなると、当然新しい青年期区分がいることになろう。十三,四歳から三十歳をもちろん等質の青年期とみるわけにはいかないから、従来慣用の青年期前期(アーリイ・アドレッセンス)、青年期後半(レイト・アドレッセンス)…
ともあれ、自と他、個と社会、男と女、強さと弱さ、勝と敗、誇りと恥、それらの戦場であるところの身体にわれわれがはじめて出会うのは、青年期前半においてである。それは決して物としての身体でも、単なる生体としての身体でもない。おそらくこれが、「同…
いずれにしても、青年期前半の、とくに男の子たちにとって、奔流しだす性衝動について、互いに告白しあうにしろ互いに揶揄しあうにしろ、互いに確かめあうための親友をこの時期に欠くことのデメリットの大きさは、従来にもまして強調されていいと思う(笠原…
まもなくその非に気づいた私は精神病の精神医療に関してだが、「適切な治療的距離」(proper distance)という概念を先人の文献から借りてきて強調した(「精神療法一般の治療機転」「精神医学」9、二七三-二七八頁、1967)。しかし実際は精神病より一見コン…
http://www.oteranomirai.or.jp/support/oyatsu-club/ *面白い試みだと思います。
石原慎太郎氏は、とかく太平洋戦争を「白人支配からの解放戦争」だったと主張しますが・・・ (前略)日本人がまたそれに乗って、東は東なんて言いだしたら、まんまと向こうの思うつぼですよ。東も西もないんだって、なぜ日本人が言えないんだ。それを、「いや…
「親密欲求」と「性欲」は元来全く原理を異にする方向である。それゆえにこそ、この統合を課題とする人間の青年期は他のいかなる時期にもまして困難な時期といわれるのだが、サリヴァンはこの点をこう考えている。「親密さへの欲求」が達成され個人的二者関…
以下は余談である。「うつ」とか不安や不眠を主訴に外来へ通ってくるBDP(熊田註;境界性パーソナリティ障害)に対して、わたしはどのようにゴールを定めているか。もちろん「治る」なんて期待していない。大概は歳を重ねると徐々にエネルギーが落ちてくるか…
こうしたシチュエーションには、もはや平和は訪れようがないのだろうか。 ひきこもりのてんまつについては、ここに興味深い文章がある。2001年9月28日付け朝日新聞の投書欄に「ひきこもりをやめさせた力」と題して載っていたものである。10年以上ひきこもっ…
今日はお休みにしました。疲れていたようで、終日寝たり起きたりでした。
(1)対人関係がいまひとつスムーズでない。敵か味方か、といった具合に極端に走りがち。また、ささいなことで態度が豹変する。 (2)周囲を動揺させたりスタンドプレー的なことをしてみたり唐突に秘密を告白したり、どうも他人を煽ったり唆すところが目立…
(前略)なおWHOによる「精神および行動の総体/臨床記述と診断のガイドライン」(通称ICD-10と呼ばれる病名マニュアル)では、BDP(熊田註;境界性パーソナリティ障害)のことを情緒不安定性パーソナリティ障害と称している。こちらのほうがリアルな名称であ…
(前略)また、BDP(境界性パーソナリティ障害)的な心性の持ち主は、意外にも医療や福祉の従事者にも散見される。かれらはなるほど困った面もいろいろ持ち合わせているが、自分のつらさを他人に見て取ってなんとかしてあげたいとか、「援助者にとっての商品…
(前略)核戦争は肉体のご破算だけど、その前にもっと誘惑的な精神のご破算願望があるだろう。いま自分を弱者におとしめている条件を叩きつぶすために、徒党を組んで、その徒党に忠誠をつくす快感。強烈な排外主義と裏腹になっているけれど、これも一種の疑…
実際儀式には意味なんかなくてもいいんだよ。互いにそれを儀式だと認め合ったら、それが儀式になる。そしていったん儀式になってしまうと、不思議な魔力を発揮しはじめるんだ。だから、その儀式に対してもし言語が笑いの精神を忘れたら、その時はもうおしま…
(前略)けっきょく真の核廃絶は国家の廃絶以外にありえないような気がする。あまり希望は持てないね。兵士への道のほうが、国家の廃絶よりずっと理解しやすいプログラムだからな(安部公房『死に急ぐ鯨たち』新潮文庫、1991年、pp141-142)。
もし政治家にあえて戦略を求めるとしたら、どんなことでしょう。 安部 当然すぎるけど、平和でしょう。現在の日本は平和と言えば平和だけど、いわば戦争の一形態としての平和だからね。平和を単なる理念としてでなく、はっきりとした政治戦略として示してほ…
うん、「国家としての想像力」なんて、不思議の国のアリスに出てくる《笑い猫》みたいなものじゃないかな。表側だけあって、裏側のないメダル。表現があるだけで、実体は不在なんだよ。 それにしても最近、日本でも珍しいタイプの作家や演劇関係者が出はじめ…
今日はお休みにしました。疲れていたようで、終日寝たり起きたりでした。
日曜日はテレビで時事報道番組を視ます。
僕もね、正直言いまして、『こころ』ってよく理解できないんです。「文学の奥深さ」に行きつく前に、「なんなんだよ、この話は?」みたいな方に行ってしまいます。あの登場人物がみんな何を考えているのか、さっぱりわからなくて、感動できませんでした。す…
今日はお休みにしました。村上春樹『村上さんのところ』(新潮社、2015年)を読了。
追試答案の採点のために、出校しました。72万アクセス到達。
安部 そして、その日本人の泥棒が狙うのも、やはり日本人なのです。いちばんその時期に被害が大きかったのは日本人で、日本人が日本人を襲っていた。しかも非常にそれは残酷な襲い方をしました。 だからぼくは、日本人の内部構造について、日本人はとても自…
男性よりも女性の方がより悪が深いのか?より致死性が高いのか?こんなことを言うと叱られそうだけれど、たぶんそのとおりだと僕は思います。男性の悪が堅く地殻的なものだとすれば、女性の悪は流動的な溶岩に近いものです。前者が意図的なものだとすれば、…
安部 赤軍派に似ているのは、新撰組だな。新撰組が京都にーあれは会津藩から派遣されたのかな。それで幕府側の秩序を守るためにかり集められて、百姓が急に侍にされて京都に送られたわけだ。 ところが、なかにはほんとに侍もいたわけさ、上のほうには。とこ…
インテリ男は、「なぐる」ということなど、知識人のすべき所業ではないと思っているが、女性にはもっと原始的な憧憬が隠れていて、男の本当に強烈な精神的愛情のこもった一トなぐりを受けたときに、相手の男らしさをパッと直感するらしい(三島由紀夫『不道…
ー特権をもった人間が、自分の抑圧した人間に対して心に抱くやましさという重荷、そうした気づかいは、まさしく特権を維持するための気づかいなのである(フランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー、1996年、p110) 日本のホラー映画『呪…
WEBサイトで話題になっていた山本さほのマンガ、『岡崎に捧ぐ(1)』(小学館、2015年)が単行本化されました。小学校6年生の女子、主人公の山本さんと親友の女子、岡崎さんの親友関係を、1990年代を舞台に描いたマンガです。このマンガがヒットしたのは、ア…