心理療法

拒食症の「治療」論争と中島みゆき

かつて、拒食症は、「女になるための病」だといわれたことがありました。「成熟拒否」、「男子羨望」という言葉も用いられていました。(中略)このため、拒食症が「治る」ということは、いったん拒絶された「女性性」を肯定することであり、それゆえにその…

ダメでもともと医学

こんなことは別に二重盲検して調べることではありません。私は、「証拠にもとづいた医学(EBM)」とともに、「ダメでもともと医学」というものがあってもいいと思うんですよ。「ダメもと医学」ですな。英語でどう言うのかわかりませんけれど、とにかくお金が…

生きるリアリティ

別にそういったボランティアに限らなくてもいいですけれども、実際に自分が役に立つようなことならばやりたいと思っている青年と、リストカットをする、あるいは無差別殺人をする青年というものは、同じものを求めているわけです。つまり、それは生きること…

ミニトラウマの処理方法

古式カタルシス「護摩たき療法」 護摩たきとは、煩悩をあらわす護摩木を焼くことで、心の迷いを焼き尽くすことです。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人は、まず、心的外傷(トラウマ)となったできごとを、できるだけくわしく紙に書き出します。この作業は…

非定型うつ病の信仰治療についてー禅宗の事例からー

ここ一週間、一日三時間瞑想して、昨夜ようやく第三の目が開眼しました。実を言うと、一週間前、“騙されたと思って一日中坐禅をしよう。それで三月になっても完治しなければ命を絶とう”と決心していたのです。先週は、過食、過眠、全身の重さで寝たきりにな…

死の実感の喪失

「死の実感の喪失は、自分の命は永遠であるという幻想をもたらす。その幻想の中で、人は死に対する激しい恐怖にとらわれる。かくいう私も、死ぬことが ずっと怖かった。考えはじめると、叫びたいほどだった。しかしタヒチで獣の死骸を日常的に目にするように…

治療者の変性意識状態

現代の精神療法はこのような個人的・偶発的な経験をなるべく廃し、一定の技法を用い、一定の効果を得られるような方向に向かいつつある。その結果、精神と精神の相互交流から生じるクライエントの精神への働きかけから離れて、クライエントの行動へ働きかけ…

禅とマインドフルネス

http://www.chugainippoh.co.jp/rensai/shinsou/20151028-003.html どう受容するのか仏教界 マインドフルネス流行の兆し(3/5ページ) 2015年10月28日付 中外日報(深層ワイド) だが、心理療法としてのマインドフルネスは無宗教だが、それを入り口として禅…

マインドフルネスと禅

http://www.fuanclinic.com/blog/?p=181 マインドフルネス 「マインドフルネス」をご存じですか? 聞きなれない言葉ですね。正確にはマインドフルネスストレス低減法といって心理学的治療の一つです。今米国の多くの心理学教室にはマインドフルネスセンター…

花園大学の試みー座禅とカウンセリングー

http://www.pot.co.jp/oikenparis/%E5%9D%90%E7%A6%85%EF%BC%88%E3%81%96%E3%81%9C%E3%82%93%EF%BC%89%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81.html 坐禅(ざぜん)のすすめ 〜自然治癒力で心身を癒す〜 大学でも坐禅の効能に目をつけたところがある。2006…

マインドフルネスと参禅会

少なくとも日本の場合、今からマインドフルネスの指導能力を持った認知行動療法の専門家を養成して増員していくよりも、禅僧に精神医学の基礎知識を身につけてもらい、参禅会を開いてもらうことのほうが、よほど国民のメンタルヘルスに役立つように思います。

我流の座禅の危険性

http://www.geocities.jp/gurakuan_acupuncture/disease090612stress.htm 「うつ病」になってしまった時、または、なりそうな時に読むページ とにかく、頭を使わない。考えない。脳みそに、考える時間を与えない。頭を空っぽにしましょう。 「頭を空っぽに」…

非定型うつ病と瞑想

非定型うつ病の人は、感情の浮き沈みに振り回されがちです。 瞑想は、まず体の緊張をとくことによって心の緊張もとき、「今ここでのありのまま」の自分の感情や感覚に気づくことからスタートします。自分の感情と行動の関係や、自分と周囲との関係を客観視す…

女性のアルコール依存症

女性ホルモンには、アルコールの分解を阻害する作用もあるので、少量飲んだだけでもアルコールの血中濃度が高くなります。女性は体質的にアルコール依存になりやすい素因をもっているので、男性の2倍の速さで依存症になるといわれています。 そのうえ、女性…

居場所とは

「居場所とは、ひとりでいてもさみしくない場所のことである」(二村ヒトシ『すべてはモテるためである』ロングセラーズ、1998年→上野千鶴子『男おひとりさま道』文春文庫、2012年(初出2009年)、p124)。 *けだし名言だと思います。

瞑想(坐禅)によって非定型うつ病が劇的に改善した事例

主治医からは、薬物療法だけでは限界があるといわれ、坐禅をすすめられました。病気(熊田註;非定型うつ病)が治るものならと、栄子さんは積極的に坐禅に取り組みました。自宅で坐禅を組むだけではなく、坐禅会に出席して禅僧の指導も受けました。 しかし、…

マインドフルネスの流行をどう見るか

現在、アメリカを中心に欧米では、第三世代の認知行動療法として瞑想がさかんに行われていますが、ベースとなっているのはマインドフルネスの考え方です。マインドフルネスという英語の言葉は、日本人にはあまりなじみがありませんが、「気づくこと」という…

「何が原因か」よりも「どう治すか」が重要

病気の原因のほとんどは過去にあります。ですから原因をつきとめたところで、時間を巻き戻して、もう一度やり直すわけにはいきません。親を責めるなど、かえって苦しみを増すような言動に向かう可能性もあります。 原因は、知識として心にとどめる程度にして…

嗜癖とジェンダー

つらい現実に直面したとき、そこから一時的に逃避させてくれる嗜癖の対象はいろいろあるが、なににはまるかは男女差がある。 男性は、酒、ばくち、それに女。女性のほうは過食に、ショッピング。女性も酒やセックスにはまる場合があるが、アルコールやセック…

境界例の作品と「父性」

精神科医の市橋秀夫さんは、境界性パーソナリティ障害の治療においては、治療者は、患者に「距離のある愛」をもって接する「社会の代理人」にならなければならない、と論じます。そういえば、典型的な境界性パーソナリティ障害の若者を描いたとされる、J・D…

虐待とパーソナリティの関係

境界性パーソナリティ障害の人のなかには、成育中に性的虐待や身体的虐待を受けた人がいることがわかっています。 しかし、これも発症につながる絶対的条件ではありません。虐待を受けたひとが、とくに高率で境界性パーソナリティ障害になるわけではありませ…

境界例と父の機能

境界例は母の病理とこれまで記述されてきました。しかし、実は背後に父の不在が関係しているというのが私の臨床感覚です。彼らは治療の面でも、父の機能を治療者が与えることによって安定します。女性のセラピストが治せないといっているのではありません。…

妻(母親)の失望

多くのケースでは、妻が自分の立場、役割について失望、怒り、無念の感情をかかえています。自分の能力をためす機会がほかにあったのではないかという思いから、しばしば子どもに過大な期待を寄せたり、子どもの将来に自分の希望を重ねたりしていることがあ…

人格障害から個性へ

偉人や過去の有名人に、何らかのパーソナリティ障害の傾向を指摘する文章はかなりあります。こうした例は少々極端ですが、ある種のパーソナリティのかたよりが、強烈な個性を生むことはあるでしょう。 パーソナリティ障害の人は、その問題行動や、かたよった…

性格を丸くする

パーソナリティ障害の人は、周囲の人とのまさつによって、対人関係が乏しくなりがちです。しかし、これでは自分自身で変わり、また、周囲の人とのかかわりで変わるチャンスを逃してしまいます。 一般に、パーソナリティ障害の人は、年とともにおだやかになる…

自分の体は自分そのもの

自傷行為や自己破壊的行為をする人のなかには、自分の体について、偏ったとらえ方をしている人がいます。 たとえば、自分の体が「価値のないもの」とか「傷つくのにふさわしいもの」と思っていたりします。自分の体を痛めつけることが、自分の気持ちを表現す…

嗜癖と暴力

(8)(前略)嗜癖の最大の欠点は、同じ効果を得るためにますます大量の嗜癖行為が必要なことである。この点では暴力も似ていて、家庭内暴力であろうと、教師の暴力であろうと、嗜癖的循環に陥る傾向から逃れることは難しい。始めは、思いあまって行った暴…

女性開業精神科医

しかし開業医となる以上、女性の特色を生かしたスタイルがあってほしい。右に挙げた児童精神科もよいだろうし、小児から青年にかけての心身症の専門家もほしい。(中略) 私の希望をいえば、もう一つ、近ごろ多い自己愛型女子患者の治療医を女医さんにお願い…

基底欠損

こうして、客観的・受身的治療関係の維持が困難となり、治療者は巻き込まれて、時には患者を誰よりも優先しなければならない時にはテレパシーで治療者の私生活や内心を透視できる超能力者ではないかと畏怖したりする。患者は嗜癖的依存と荒れたアクティング…

神経症と非行

しかし神経症と非行とは、精神科医が思っているほどは離れたものではなさそうです。成績がよいとか、家庭が精神科医と同じ程度の階層に属していると、神経症あるいは境界例の行動化、そうでないと非行というようにとらえられやすい。本来は神経症と非行は同…