女性のアルコール依存症

 女性ホルモンには、アルコールの分解を阻害する作用もあるので、少量飲んだだけでもアルコールの血中濃度が高くなります。女性は体質的にアルコール依存になりやすい素因をもっているので、男性の2倍の速さで依存症になるといわれています。
 そのうえ、女性は、アルコール依存になっていることを隠したがる傾向があります。そのため、周囲の人が気づいたときには、すでにかなり重症になっていることが少なくありません。
 まわりにいる人は、早く徴候に気づき、受診に導いてあげることが大切です。アルコール依存の典型的な症状は、禁断症状です。パニック発作の症状と似ていますので、パニック障害の患者さん(熊田註;日本で男性で1・7%、女性で5・1%)が身近にいる人は、101ページに示した表を参考にしながら、このような症状がないかどうか気を配ってあげましょう。


現代日本で、「草食化」しつつある男性のアルコール依存症が減っている反面、女性のアルコール依存症が増加していることには、社会的文化的要因だけでなく、生物学的要因も関係しているのでしょう。