カフカのブーバー嫌い

(前略)むしろそれ(熊田註;家庭の「教育」)はほかでもない、少なくとも永年にわたって仮借ない不均衡へと運命づけられたひとつの獣的な共同体(熊田註;家族のこと)に均衡を与えようとして、たいていの場合は悪あがきのようにつづけられる試みにすぎないのであって、この有機体はひとりひとりの<人間獣>とは区別して、<家庭獣>と呼んでさしつかえない。
(中略)
 両親の利己心―両親の本来の感情―には限りがないのだよ。両親の最大の愛情といえども、教育という観点からは、お雇い教育者の最小の愛情よりも利己的なのだ。これはどうしようもないことなのだ(フランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー、1996年、(初出1921年)、pp.339-340)。


カフカは、「幸福な家庭」では育たなかったようです。カフカが「我と汝」の著者であるマルティン・ブーバーを「ペテン師」と批判したのは、よく理解できます。 


「AC・よそもの・私とあなた」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20080903/p1