フーコー・吉本・アンパンマン

http://web.sfc.keio.ac.jp/~oguma/report/book/Democracy_vol1 より転載
――小熊英二さん『〈民主〉と〈愛国〉』を語る(上)


 ついでに言えば、フーコー(熊田註;1926-1984)は吉本隆明(熊田註;1924-2012)とほぼ同世代です。吉本さんは明らかに、「聖戦」を掲げていた国家や大人が民主主義礼賛にひっくり返って、裏切られたという思いがある。ある時代に支配的なディスクール(言説)なり、共同幻想というものは、簡単にひっくり返るものなんだという感覚は、フーコーと吉本に共通していますね。フーコーの著作というのは、ある支配的な言説が一度ひっくり返り、またまたひっくり返って近代に至った、という筋書きばかり書いていたと思います。


*『アンパンマン』の原作者・やなせたかし(1919-2013)のアナーキックな思想にも、フーコーや吉本と同様、若い頃に「(国家に)裏切られたという思い」があると思います。


アンパンマンの孤独−愛と勇気とホモソーシャル
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20140329/p1