精神科の薬物療法と「男らしさ」

 患者が薬の作用に「賛成」すると、少量でよく効くようになる。薬の力で患者をねじ伏せようとすると、大量の処方が必要となる。薬は自然に排出されるので、人間と薬が闘うと必ず人間が勝つ。大量に水をのむとか、タバコを吸うと薬の作用が薄まることもそのうち覚えるようになる。どのようにして薬のはたらきに「賛成」してもらうかは、担当職員の腕によるところが大きい。
 薬と「闘う」人のなかには「マッチョ」(男を張ること)を自分の理想としている人が少なくない。薬で「おだやか」になることは自分の理想にそむくのであろう(中井久夫山口直彦『看護のための精神医学/第2版』医学書院、2004年、p74)。


*精神科の薬物療法にも、「男らしさの病」はマイナスに作用するようです。