心理治療と傲慢

(前略)心理療法者に通じるものとして挙げられるのは、何と虚無僧であり、辻音楽師である。逆に治療者がもっとも戒めるべきことは、傲慢(ヒュブリス)である。「まず害するなかれ」が、すべての治療と同じく、心理治療の基本であるのに、治療者の傲慢がいかに患者を害してきたことであろう。心理治療者は含羞を失えば致命的であると著者(熊田註;霜山徳爾)は強調する(中井久夫『私の「本の世界」』ちくま学芸文庫、2013年、pp.138-139)。


*傲慢な心理療法者(精神科医・宗教者を含む)は世に絶えないように思います。