癒しと自然治癒力

 ほどなく伊敷病院へ転職し、本格的に勉強してエキス剤を使いはじめました。どなただったか、漢方の大家の言葉がボクにヒットしました。「漢方での治療は自然治癒に過ぎないと言われることは、漢方医の誇りである。漢方は自然治癒を援助するのだから」 当時、精神療法の治癒機制を考え続けたあげく、自然治癒力の仮説が必須であると考えるに至り、『精神療法面接のコツ』に次のように書いています。
 「精神療法の場にやって来る患者は、現状からの離脱を切望している。意欲と能力とを露出しているのが普通である。したがって、治療者の作業は『妨げない』『引き出す』『障碍を取り除く』の順になることが多い」(神田橋條治『技を育む』中山書店、2011年、p135)


*信仰治療を考える上でも、示唆的な見解です。