妄想・幻聴・独り言の意義

 私は決して妄想も幻聴も勧めるわけじゃありませんよ。勧めるわけじゃないけど、この独り言と同じような面もあるんですね。それらはみんな、必死に脳が整理しようとしているのでしょう。幻聴や妄想の「内容」が問題ではないと思うのです。恐怖を背景にして出てくるから怖いのだろうと思います。空耳とか空想と違うのは、恐怖が土台にあるということです。統合失調症のいちばん底にあるのは恐怖です(中井久夫『こういうとき私はどうしてきたか』医学書院、2007年、pp.39-40)。


*神秘体験も研究する宗教学者としては、納得のいく見解です。