滝川クリステルと性の政治学

「おもてなし」。滝川クリステルによる五輪招致プレゼンテーションには、オリエンタリズムとセクシズムが露骨に見られました。


仏語にて/日本の美女が/お・も・て・な・し
フジヤマで/ゲイシャみたいに/暮らしてる


 ポストコロニアリズムの古典であるフランツ・ファノンの「黒い皮膚・白い仮面」をもじっていえば、滝川さんは、「黄色い皮膚・白い仮面」の女性だということです。正確には彼女は日仏のハーフですが、そのことは、IOC委員の多数派である白人(男性)にアピールするためには「純血日本人」であった場合よりも有利に働いたと思います。また、サイードの「オリエンタリズム」が論じるように、西洋人は自分たちを男性に、東洋人を女性になぞらえ、前者を後者の優位に位置づける傾向があります。「おもてなし」を強調することは、「エキゾチックな東洋の女性的文化の魅力」を強調することとして、白人(男性)の無意識の自民族優越主義(および男性中心主義)にアピールしたと思います。
 後半の句は、オリエンタリズム(西洋人による東洋表象の仕方)を皮肉って、「クリスタル」と「暮らしてる」を掛けたのです。