「羊たちの沈黙」とオリエンタリズム

 西欧映画「ハンニバル・ライジング」(2007年・米英仏合作)では、日本の伝統文化が、狂気の天才精神科医レクター博士カニバリズムに影響を与えたことになっています。

Wikipediaハンニバル・ライジング」より引用
 本作のヒロインともいえる、ハンニバル・レクターの叔父の妻が「紫夫人」(Lady Murasaki)という名の日本人であり、伊達政宗の子孫という設定である。彼女を通して様々な日本に関連するエピソードなどが登場する。特に原爆で家族を失った紫婦人の強烈なパーソナリティと宮本武蔵水墨画が、レクターの精神世界の構成に大きく影響を与えるところなど、「日本」が作中の大きなテーマになっている。

 
 異文化を食人文化として描くことは、典型的なオリエンタリズム(東洋を西洋が支配して導くべき弱者として表象すること)の手口です。西欧映画にこの手のオリエンタリズムはいくらでも見られるし、この映画のオリエンタリズムはまだマシな部類に属するので、もういちいち目くじらを立てる気はしません。私は、「日本人の沈黙」を決め込みます。