精神科の精神療法

 これは正常者ないし軽い神経症者に開発された心理カウンセリングではありません。われわれがしているのはうつ病統合失調症も含めた患者さんへの心理療法です。この三〇年の間に大学は精神療法っていうのを教えなかった。あるいは、そういうのに関心を持たせなかった。バイオロジーでないと学位が取れない構造になっていたからです。これをいかにして修復するか、これからの大学教授の使命ですが、ちょっと絶望的ですね。精神科の精神療法ってのは人間全体を考える、人間の成熟可能性を考えることでしょうか(笠原嘉「『外来精神医学』雑感」『外来精神医学という方法』みすず書房、2011年(初出2008年)、pp.14-15)。


*やれやれですね。私たち他分野の研究者も、何とか協力したいものです。