2013-08-19から1日間の記事一覧

「脱アイデンティティ」は新しい議論か?

(前略)常識的には、「自分が自分である」ということは(生まれた時からとはいえないまでも)人生の早い時期にひとりでに与えられた不動不変の事実のように思われているが、必ずしもそうではなくて、ひょっとすると人間の心は「自分が自分である」ために不…

精神医学と「想像力の慣用語」

前のジョージ・サンタヤナについていえば、彼は全能の神の存在を信じていません。不信心者ですから、分類すれば無神論になりますが、それにもかかわらず神という考えは、彼の中に生きているんです。彼にいわせれば、“idioms of imagination”(想像力の慣用語…

自殺防止ボランティアと相互ケア

ボランティアがストレスをためこまないようにするコツは、大変辛い相談を受けたとき、そばにいるボランティアに聴いてもらうことなのです。 話せる相手は自殺防止センターで働くボランティアだけです。相談者の秘密を守らなければならないので、家族や外部の…

精神科の精神療法

これは正常者ないし軽い神経症者に開発された心理カウンセリングではありません。われわれがしているのはうつ病や統合失調症も含めた患者さんへの心理療法です。この三〇年の間に大学は精神療法っていうのを教えなかった。あるいは、そういうのに関心を持た…

摂食障害と「成長」

摂食障害の治療をする上では、常に「成長」というテーマを頭に入れておく必要があると私は考えている。成功した摂食障害の治療を振り返ると、拒食症にしろ、過食症にしろ、明らかにそこには「子ども」から「大人」への「役割の変化」というプロセスがある。…