精神療法の陥穽

(前略)「精神療法はなぜ面白いか、それは人間を変えるということが面白いからである」「治療にロマンを求める」という表現で語られるものは、個人的威信の向上よりもさらに患者を手段とする行為である。サリヴァンは「よい精神科医とは日々の糧を得るために働く精神科医のことだ」と言っている。だからこそ患者は安心できるという含みがある(中井久夫「再録 統合失調症の陥穽」『統合失調症をたどる』ラグーナ出版、2015年(初出1992年)、p234)。


*心理学科の学生さんたちにも、注意を促しておきたい点です。