サリヴァンの現代性

 医師は、薬物を武器(あるいは防具)として患者に接することができる。これを点で患者と接するものだとすれば、看護者やケースワーカーは面で接するものである。そして、医学化あるいは生物学化した精神医学は彼らに与えるものを欠いている。サリヴァンの理論は、依然この空白を埋めるものであり、米国の精神科看護になおサリヴァンの影響が強いのは、当然といえば当然である。保育学、教育学においてもサリヴァンの発達論は聴くべきものがあるだろう(中井久夫「『精神医学は対人関係論である』」『サリヴァンアメリカの精神科医みすず書房、2012年(初出1990年)、p178)。