のび太としずかちゃんをめぐって

 (前略)これ(熊田註;統合失調症の発病と同性愛ショックの関連を主張する説)に対して、彼(熊田註;アメリカの精神科医、H・S・サリヴァン(1892-1849))は前青春期の友情を人生の最高地点とする。ただし彼は、この時期の「相手の満足と安全を自分のそれらよりも優先させる」愛の体験を指しているので、通常の同性愛を擁護しているわけではない。通常は同性間だが、弱虫の男の子とおてんばの女子との間にも成り立つとも言っている(中井久夫サリヴァン統合失調症論」『隣の病』ちくま学芸文庫、2010年(初出1990年)、p42)。


*日本のマンガ=アニメ「どらえもん」における主人公ののび太としずかちゃんの関係が想起されます。ちなみに、サリヴァン自身も「女々しい」とされていたゲイ男性だったそうです(「ミス・サリヴァン」とあだ名されていた)。「男子の草食化/女子の肉食化」がいわれる現代日本社会では、サリヴァンのいう「前思春期における弱虫の男の子とおてんばの女の子の間の友情」は、サリヴァンの時代より重要性を増しているのでしょう。