ザンジバルの統合失調症

 つまり、精霊憑依という信念は、(熊田註;統合失調症の)患者本人や家族が持つスティグマを減じてくれる。(熊田註;イスラームの)神の恵みにしろ、試練にせよ、はたまた憑依霊の仕業にせよ、結局のところ病は、個人や家族にはどうすることもできないものである。それでも、マクグルーダー(熊田註;現地のインフォーマント)の考えるところによれば、
「人間は自分を完全にコントロールできると思わなければ、それができない人のことをひどく恐れたりはしないものだ」(イーザン・ウォッターズ『クレージー・ライク・アメリカー心の病はいかに輸出されたかー』紀伊國屋書店、2013年(原著2010年)、p191)。


*WHOの調査では、発展途上国統合失調症患者は、先進国の患者よりも自然によくなることが多いそうです。