現代精神医学の問題点

島薗 医学の領域では、精神医学のあり方が考える材料になると思います。私も医学へと進んでいればやりたかった分野ですが、精神医学ではこの40年ほどの間に、エビデンスの出るものを研究する方向へどんどん進んできて、薬物療法とか認知行動療法といって、要するに短期間に結果が出る、データが得られる医療が主流になってきています。
 これでは本当に患者の問題に向き合っていることにならないと考えている人は、精神医学の領域には相当数います。たしかに向精神薬認知行動療法も大いに実効性があるので、それを排除しようと言いたいのではありません。しかし、そちらが圧倒的に優勢になってしまって、人類が蓄えてきた知的資源を踏まえて人の心のあり方をとらえ、病の意味を考えて臨床実践にあたるというような知の領域が狭まっているとしたら、それは改めたほうがいいです(池内了×島薗進『科学・技術の危機/再生のための対話』合同出版、2015年、pp.123-124)。


*ごもっともです。


「不安障害の信仰治療についてー天理教の事例からー」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20110907/p1