統合失調症の陥穽

(前略)現在は、少なくとも、うっかり患者の自己破壊性を引きだして、しかもその自己破壊性に幻惑されないようにしたい。(中略)さらにわれわれは、みずからに潜む自己の地上性(この世性)を超脱したいという感情を患者に重ね合わせていないだろうか。かなりの比率の精神科医統合失調症に“呼ばれて”精神科医になる。「統合失調症」は精神科医を誘惑するが統合失調症「患者」は粛然とさせることを言っておきたい。つまり、「患者」に“呼ばれる”ほうが医者にも患者にも安全である(中井久夫「再録 統合失調症の陥穽」『統合失調症をたどる』ラグーナ出版、2015年(初出1992年)、p234)。


*ごもっともだと思います。